生まれて初めての殺意〜私の元親友A〜



一歩間違えば私は殺人犯だった

元親友A…彼とは大学のサークルで出会いました。最初はなんだか無口な人という印象。
私より背が低く(私が身長173cm、彼は169cm?)、育ちがいいせいか、身のこなしが本当にきれいだったです。
彼自身も家庭で色々あって、一時期横道にそれたりした過去があり、私も家庭での悩みは尽きなかったりして、そういう経験から私とはウマがあったようです
頭もよく、人間的にもデキた人間だと思っていました。
ただ彼自身凄く娯楽大好きで、ギャンブル等もやる人であり、見せてる性格とは裏腹に気が小さいところがあり、言いたいことがなかなか言えない人でした。
そういうところが私はあまり好きでなく、ゆえに恋愛対象ではありませんでした。彼も私の気の強い…強すぎるところが、あまり好きではなかったのではないかと思います
ただ、その彼の言いたいことが言えないという欠点が、この事件を生んだ気がします

最悪の展開・人生初のリストカットと殺意

要は私が鬱の時に鬱の症状である注意散漫ゆえに、失言を彼の彼女にしてしまい、それで彼女が悩む。それをあとで知った彼は「自分のいないところで自分の悪口を彼女に言った」と激昂。 そしてそれを私に言えない彼はサークルの人間に片っ端からグチりました。
それでも気が収まらなかったらしい彼は、仲のよかった私の彼氏にまでグチります。
私の彼氏はウソがつけない人なので、それはすぐ私に伝わり…鬱だった私は大混乱にいたります。
鬱じゃない本当の私をよく知っている彼、そして病気の説明もたくさんして、理解したハズなのに、わかってくれないだけでなく、陰口たたきまくっている…。
私は基本的に文句があったらハッキリ言って欲しい人で、以前も同じように私に言いづらいことを彼は一ヶ月以上に渡って私に黙っていたことがありました。それで意を決して私に話があると言っても、結局言い出すまでに1時間以上。聞いてみたら私にとっては全然たいしたことではなかった。
私はウラでごちゃごちゃ言われるくらいだったらハッキリ言って欲しいからってその時も散々言ったのですが、やはりダメだったようです

直接聞いた話ではないし、自分自身も鬱で混乱しているからと、彼に連絡とるのは落ちついてからにしよう。そしてちゃんと謝ろうと思いました。
しかし黙っている間、どんどん調子が悪くなります。ついに私は初めてリストカットをしてしまいました。
次の日の朝母に打ち明けたら、母は本当に泣きそうになっていました。あの気丈な母が…。
そしてカッターをとられたのに、自分で買いリストカットしてました。
そんな時彼に、偶然会ってしまったのです。
彼の悪意のこもった一言で私は錯乱状態になり、彼の目の前でもリストカットをしました。
彼氏が速攻で迎えに来て、一緒に病院へ。頭がぼーっとしてわけわからなくなる薬をもらいました。
それから…私はずっと彼に対し殺意を抱いていました。私をわかってくれなかった彼と、彼を変えてしまった彼女をぐちゃぐちゃに切り刻んでやりたい…。と
生まれて初めての殺意でした。
法律を学んでいた私は、ああこういう気持ちが殺意というのか、これで実行したら刑法199条殺人罪になるのか。と頭のどこかで酷く冷静に思っていたのを思い出します
それをわかっていた私の彼氏と母は交代で私を一人にしないようにしてくれました。
私自身も今ここで彼に会ったら絶対に殺してしまうと思っていたし、それは自分にとって全くもったいないことだ、自分の人生無駄にしてどうするという、多少の理性もあったので、彼氏宅にずっといました。

殺意と友情の狭間で

その後ずっと、病気が治るまで、彼への友情と殺意でかなり悩みました
一回「親友」と呼び合った仲です。そう簡単に諦められなかった。いいところも、いい思い出もたくさんあった。
彼のことでリストカットをすることはなくなったけど、でもずっとずっと考えていました。
でも自分が鬱になると周りに迷惑をかけると思ったし、周りも病院行かなくてよくなった位病気が治ってから謝ればいいと私を言いくるめていました。
でもずっとずっと…。思ってました。
病気が治ったら絶対謝るんだって思ってました。
でもそれと同時に私の心は彼の心無い発言と彼の目の前でのリストカット以来、彼に恐怖を覚えていました。
彼とは同じ学部で、たまに学校で会ってしまうのです。
そのたび恐慌状態になり、頭が真っ白になってわけがわからなくなり、強い自傷行為衝動がありました。とにかく恐怖でした。
彼と似た風貌の人、彼が着ていたものと同じような服を着た人に対しても過剰に反応し、違う人だとわかっても動悸が収まらないこともありました。
そのたびに、周囲の人に迷惑をかけました。

鬱を克服した今の私の気持ち

そして病気が治った今…。私は彼とコンタクトをとりませんでした。
とろうと思えばとれます。でも、しなかった。
今思うと、鬱のせいとはいえ失言をした私も悪かったし、それを私自身に言わずサークルの人間に手当たり次第陰口をたたいた彼も悪いなと思ったからです。
冷静に考えてみると、どっちもどっち。どっちも悪い
そして、私は陰口をたたく人間が大嫌いです。
グチならいい。誰かに言ってスッキリして、それでまた普通にできるのだったら。私はそれは「グチ」であり「陰口」とは考えません
ただ、彼はたくさんの人間に…しまいには私の彼氏にまで話して、結局私には一言も言わなかった。
言われなきゃわからないし、謝ることもできない。なのに彼は謝られないからムカつくという気持ちであったのだろうと思います
病気を理解できないのは、いいと思います。わからない人にはわからないのだろうと思います
でも、陰口をたたくような人間は嫌いです。
だったらハッキリ正面切って「気に入らない」と言って欲しいです。
そういう人なのだとこの件でわかったから、もう友達やりたいとは思いません
ある意味、殺人犯の気持ちがわかる体験ができてよかったかも(笑)なんて思うことはありますが
あれが殺人の故意かぁ〜と

そして未だに恐怖心は残っています。心の傷、なのでしょうか…
彼と似たような風貌の人を見ると体が条件反射でビクッとします。
そして、そのあと「違う人だし。大丈夫だ。怖くない」と自分を言い聞かせます
そんな自分ですから、あの殺意は本物だったし嘘偽りでも妄想でもなかったとは思いますけど、もしあの殺意を抱いていた頃彼や彼の彼女に会っても…きっと恐慌状態になって何もできなかったでしょうね(苦笑)
それでも、近くに刃物があったら…と思うと今でもぞっとします。
相手は男性であり私はひ弱な女なので彼を殺すことはなかったとは思いますが、まず間違いなく切りかかっていたでしょうね…

でも私は、一生死ぬまできっと彼のことは忘れないでしょう
また友達やりたいとは思わないけれど、でも彼と一緒にいて楽しかった思い出は嘘じゃないから
私も彼が大好きで、彼も私を好きでいてくれた。
あの楽しかった日々は夢でも幻でもない、現実だったから…
だから、楽しかった思い出だけ、抱きしめて生きていこうと思います

大好きだった、私の親友…荒川さんへ


関連リンク
◆当時の私の日記
↑リストカットの具体的記述がありますので注意



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