■2013年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GM食品表示
●米国のGM食品表示法制定の動き、さらに広がる

 カリフォルニア州の住民発議による「GM食品表示法案」が僅差で不採択になったが、市民団体は運動を継続している。その中心が、サンタクルーズ郡、サンフランシスコ市、フンボルト郡で、この3つの地域が連携して運動を進めている。いまは来年に向けて、ワシントン州など30州の人たちと、住民発議に向けて動き始めている。〔Santa Cruz.com 2012/11/20〕
 また、シンシナティ市は、オハイオ州で初めて、GM食品表示を州政府に求めることを決めた。これは市民団体による「私が決める(LetMeDecide)キャンペーン」が求めていたもので、市議会で可決した。〔Food &Water Watch 2012/11/15〕
 イリノイ州ペーロスヒルズ市議会もまた、住民の請願を採択し、州政府に対して「GM食品表示」を求めることになった。 〔Chicago Tribune 2012/11/20〕
●GMOフリー
●米国サンフアン島がGMOフリーに

 米国ワシントン州サンフアン島(郡)で、11月6日の大統領選と同時に行われたGM動植物の栽培・飼育を制限する法案が、賛成5183、反対3329の大差で成立した。郡内の有機栽培農家らが提案していたもので、これにより郡内では遺伝子を組み換えた動植物の栽培・飼育が違法となる。違反すれば罰則が課せられ、破棄処分となる。〔Journal of the San Juan Island 2012/11/8〕

●カナダ・メチョーセン地方がGMOフリー宣言

 カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州メチョーセン地方議会は、GMOフリー法案を可決成立した。これは農業諮問委員会から提案されたもので、主に同州で栽培が予定されているGMリンゴの栽培を阻止するのが目的と思われる。 〔Gold stream News Gazette 2012/11/30〕
●GM汚染
●GM芝の汚染深刻化

 2002年にオレゴン州で試験栽培された除草剤耐性芝が、自然交配によって拡散していることが判明した。試験栽培畑の外へ飛散したGM芝を根絶やしにできなかったためで、野生品種と交配を繰り返し、21km離れた場所でもGM遺伝子を持つ草が生育しているのが見つかった。さらに、別の属の雑草との交配も見つかっており、事態は悪化している。GM芝は、現在も認可されていない。 〔Molecular Ecology 2012/10〕
●遺伝子組み換え作物
●新たな除草剤耐性作物に懸念

 米国パデュー大学の研究者が、除草剤耐性雑草の広がりから、新たに登場した除草剤2,4-D耐性作物やジカンバ耐性作物に対して、懸念を表明した。表明したのは、雑草科学の専門家であるビル・ジョンソンで、これらの除草剤に耐性を持った作物は、農民をさらに特許に縛るだけでなく、除草剤耐性雑草をさらに増やすことになると指摘した。 〔Pardue University 2012/11/15〕

●耐性害虫の被害明確に

 米国フロリダ州南部で行われたBtトウモロコシを用いた実験で、害虫が耐性をもつことが明らかになった。これはルイジアナ州立大学準教授のFangneng Huangの研究で、11月13日の研究会で発表された。実験は、デュポン社、ダウ・ケミカル社のBtトウモロコシを用いた。耐性化した害虫はトウモロコシを食べて生きており、被害をもたらすことが明らかになったという。〔Bloomberg 2012/11/16〕
●企業動向
●GM鮭開発企業がモンサント社の影響下に

 GM鮭を開発してきたアクアバウンティ・テクノロジー社は、承認が進まないことから、経営危機に直面した。そこでバイテク・ベンチャー企業のIntrexon社が、アクア社の株の半分を買いあげることになった。Intrexon社の上席副社長で畜産部門のトップにあるトーマス・カッサーは、20年間モンサント社にいて牛成長ホルモン剤を開発した人物である。また、Intrexon社の幹部はモンサント社以外にも、ファイザー、マクドナルド社などにいた人物で構成されており、政治的な力でGM鮭を承認させようという動きだと見られている。〔Food and Water Watch 2012/11/9〕