■2013年2月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●米国議会、「モンサント条項」可決へ

 まもなく米国議会で「モンサント条項」を導入した農業歳出法が可決する見込みである。連邦議会下院農業委員会で審議中の「2013年農業歳出法」の733節に、「農業者保証条項」と呼ばれる新たな項目が付け加えられている。これは別名「モンサント条項」と呼ばれており、バイテク企業に白紙委任を与える内容になっている。裁判所が禁止命令を出しても栽培可能で、しかも企業が農務長官に栽培を許可させることができ、自由に種子販売が可能になる。成立すれば、モンサント社の決定が裁判所の決定を上回り、生産者や消費者は無権利状態に置かれることになる。そのため市民の間で反対運動が強まっている。 〔The Progressive 2012/12/13〕

●米国野生生物保護区でのGMO栽培、司法判断分かれる

 米国の市民団体が米国魚類野生生物局(FWS)を相手取り起こしていた訴えを、コロンビア特別区地方裁判所が棄却した。FWSが環境政策法(NEPA)で義務づけられた環境評価を実施しないまま、米国中西部の複数の州にまたがる54か所の野生生物保護区でのGM作物栽培を認めた、として訴えていたもの。裁判官は、違法行為にあたらないとして、原告の訴えを棄却した。1億5000万エーカー(約6070万ヘクタール)におよぶ保護区を管轄するFWSは、中西部8州の保護区内でGMトウモロコシや大豆の栽培を限定的に認めている。〔Beyond Pesticides 2012/10/22〕

 一方、米国南東部10州の野生保護区内では、保護区域内でのGM作物栽培を全面的に禁止する判決が出されている。裁判所は、保護区内でこれまでに栽培されたGM作物による環境への影響を取り除くよう命じている。栽培場所・量・品種・使用した農薬の種類などの情報公開。さらに、こぼれ落ちた種子が自然に発芽していないかを調査し、もし発芽していれば破棄して、その情報も公開すること、などを行うよう命じている。2009年にデラウェア州プライムフック国立野生生物保護区、2011年には北東部12州の保護区についての同様の裁判で、GM作物栽培禁止を求めた原告が勝訴あるいは和解している。〔Center for Food Safety 2012/11/8〕

●GM汚染を契機に、有機農家らGMOフリーを目指す

 米国オレゴン州南部のジャクソン郡で、GM作物栽培禁止条例の制定を求め有機栽培農家や住民らが署名を集めている。同郡では、近くの畑で除草剤耐性テンサイが栽培されたため、花粉の飛散により有機栽培農家のテンサイが有機農産物として販売できなくなってしまった。米国農務省(USDA)は、GMテンサイを栽培する際は、非GM品種の畑から4マイル(約6.4キロメートル)以上離れたところで栽培するよう義務づけているが(その後、2012年7月にこの規制は撤廃された)、双方の畑は4分の1マイル(約0.4キロメートル)しか離れていなかったため、この時点では違法栽培であった。農家や住民らはジャクソン郡全体をGMOフリーにすることを目指して活動を続けている。 〔Non-GMO Report 2012/11/1〕
●南米事情
●ブラジルのGM作物作付け拡大

 ブラジルのGM作物作付面積が拡大している。同国の調査会社Celeres社のまとめによれば、昨年に比べて14%増加。GM大豆の割合は全大豆生産の89%になった。〔Thomson Reuters 2012/12/17〕
●欧州事情
●EUで未承認「スマートスタック」流通

 ドイツの市民分析機関のテストバイオテクが、EU内でモンサント社の新しいGMトウモロコシ「スマートスタック」が不正に流通している、と告発した。このスマートスタックは、殺虫毒素4種類と除草剤耐性2種類の計6種類の遺伝子を導入したGMトウモロコシで、2010年に欧州食品安全局(EFSA)に申請されたが、まだ認可されていない。すでに米国では数百万ヘクタール作付けされている。 〔Test biotech 2012/12/20〕

●ポーランドがGM作物栽培禁止へ

 1月2日ポーランド政府は、モンサント社のGMトウモロコシ「MON810」の栽培禁止を決定した。同時に、独BASF社のGMジャガイモ「アムフローラ」の栽培も禁止した。これにより同国は、GM作物栽培を禁止するEU内で8番目の国になった。EUで栽培が認められているGM作物は、この2種類のみである。禁止措置は、1月28日から施行される。 〔France 242013/1/2〕

●EUが安全性評価のための長期動物実験実施へ

 欧州委員会とEFSAは、GM作物の安全性を評価する際に、2年間の長期にわたり動物実験を行う必要性がある、という見解で一致し、そのための予算を計上することになった。これは仏カーン大学のセラリーニ等の実験結果受けたもので、これまでは長期にわたる動物実験は行われてこなかった。 〔EU Food Policy 2012/12/17〕

●アゼルバイジャンがGMO管理システム導入へ

 アゼルバイジャン政府は、GM作物の危険性から消費者や環境を守るために、管理システムの導入を閣議決定した。計画によると、科学技術会議に専門家会議を設置し、危険性を評価する。また、調査チームが作物や野生植物への影響、家畜や野生動物が食べた際の影響を研究することになった。 〔All About Feed 2012/12/21〕

●ロシアがGMトウモロコシ「NK603」の禁止解除

 ロシア連邦消費者の権利擁護・福祉分野監督庁は、いったん輸入禁止措置にしたモンサント社の除草剤耐性トウモロコシ「NK603」について、問題ないとして禁止を解除した。理由の一つとして、日本などいくつかの国で承認されていることを上げている。〔Farmers Guardian 2013/1/3〕