■2016年1月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●遺伝子のビジネス化「ゲノムコホート研究」本格化


 2016年に100万人ゲノムコホート(大規模)研究が本格化する。この研究は、多くの人から生体細胞を採取し、病気や肥満などの健康にかかわる遺伝子を探しだし、新たな薬品や治療法、健康食品などの開発につなげ、経済効果と結びつけるものである。検体を提供する人から同意は得るものの、その成果は提供者には還元されず、権利は企業が独占する。

2013年、日本学術会議「ゲノムコホート研究体制検討分科会」の提言によりこの研究はスタートした。準備期間3年、実施期間13年で予算規模は1000億円(その内300億円は民間企業が負担)。前年の2012年には文科省が予算をつけ、東北大学と岩手医大が「東北メディカル・メガバンク機構」を発足し、事実上、100万人ゲノムコホート研究の先鞭をつけた。

東北メディカル・メガバンクは、宮城県と岩手県の被災者を対象とし、宮城県は東北大学、岩手県は岩手医大が担う。20歳以上の地域住民8万人と、3世代7万人を対象に生体細胞を採取して、病気や健康に関する遺伝子を探し、遺伝子のビジネス化を進めている。研究費は全額、震災復興の予算である。
マイナンバー制度下では、個人番号が医療情報とつながることになっている。やがては人間の遺伝子管理に結びつくおそれが出てくる。