■2016年7月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース



●省庁動向
●北海道の製薬工場がカルタヘナ法違反

 厚労省は6月17日、北海道千歳市にある製薬会社バイファが不適切な処理でGM生物を環境中に漏出させたとして、カルタヘナ法違反で厳重注意処分とした。同社は、ヒト血清アルブミンの製造に用いるGM微生物のピキア酵母を処理する際に、カルタヘナ法で規定されている死滅処理を完全に行わず、その廃液を流していた。2013年7月には、不活化処理をしたはずのGM微生物が微量ながら環境中に漏れ出ていることに気が付いていたが、法律違反と認識せず、厚労省に報告していなかった。その後も不活化処理を的確に行わず、微量の漏出が続き、2016年2月4日に厚労省に届け出た。

●スギ花粉症緩和米を民間へ供与

 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(略称:農研機構)は6月21日、隔離圃場で栽培している「スギ花粉症ペプチド含有稲(スギ花粉症緩和米)」を、市場化を進めるため民間企業や研究機関に提供する、と発表した。その際、これまでの研究成果も公開する。GM稲をこのような形で広く研究の試料として提供することは、これまで前例がない。

●ゲノム
●全ヒトゲノム合成計画発表

 米国の研究者を中心とした10年計画のヒトゲノム合成プロジェクト「Human Genome Project-write」が、6月2日付「サイエンス」誌に発表された。30億対から成る人間のDNAをすべて人工合成し、それを働かせるというもの。発表の3週間前に米国ハーバード大学で、招待された130人の科学者、政治家、企業人が集まり非公開の会議が開催された。中心人物は、同大医学部教授で遺伝学を専門にするジョージ・チャーチ、ニューヨーク大学教授と合成生物学を専門にするジェフ・ボークなど。これまではDNAのごく断片しか人工合成されていない。計画でも最初は小さな断片から始め、最終的に全DNAを人工合成する予定である。今年12月にメキシコ・カンクンで開催される生物多様性条約第13回締約国会議の重要課題の一つが、合成生物学の国際的規制づくりである。〔AFP 2016/6/6〕