■2016年8月号

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バイオジャーナル

ニュース



●GM汚染
●オーストラリア産クリームチーズにGMパパイヤ混入

 オーストラリア産果肉入りクリームチーズに未承認遺伝子組み換えパパイヤの混入が発覚した。検出したのはタイ産で、現在、日本で承認しているGMパパイヤはハワイ産「レインボー」のみである。今年に入り、タイから輸入したシロップ漬けパパイヤで4件、中国・ベトナムから輸入した冷凍パパイヤでそれぞれ1件、そして今回の果肉入りクリームチーズ2件の、計8件で未承認GMパパイヤが検出されている。厚労省の「輸入食品等の食品衛生法違反事例」で公表された。


●熊本大学と奈良県立医大がGM微生物放出


 熊本大学と奈良県立医大がカルタヘナ法に違反してGM微生物を処理せず放出していた。熊本大学は2016年2月26日、実験室で保管していたGMレンチウイルスを含む溶液50ミリリットルを、研究者が誤って下水に排出した。熊本大は、実験室の廃液は貯留槽で100倍以上に希釈するためほぼ不活化し、さらに塩素処理するので環境中への放出はないとしている。そのほか同大では、本来、高いレベルの実験室で扱わなければならないGM微生物を、低いレベルの実験室で扱っていた例が2件明らかになった。

奈良県立医大は過去3年間にわたり、夜間の実験で生じたGM大腸菌が含まれた廃液を、1〜2か月に1回の割合で職員がそのまま流していた。同大学は、河川に流す前に塩素処理をしているのでGM大腸菌は不活化されていると述べている。

●省庁動向
●食品安全委員会がBSE検査は不要と結論

 食品安全委員会は、昨年12月に厚労省の諮問を受けて、現在実施中の48カ月齢を超える牛のBSE検査の廃止についてプリオン専門調査会で検討を加えてきた。専門調査会は7月12日、廃止を妥当とし、食品安全委員会がパブリックコメントを求めた。現在実施している「48カ月齢超の牛のBSE検査を廃止した場合と継続した場合とのリスクの差は極めて小さく、人への健康影響は無視できる」というのが廃止理由である。2001年9月に日本で初めてBSEが報告され、翌10月から全頭検査が始まった。その後、BSEが見つかった米国からの牛肉の輸入を禁止。しかし米国政府の圧力を受け、2005年8月には20カ月齢以下限定で輸入を再開した。同時に国内検査も20カ月齢以下を不要とし、さらに2013年7月からは48カ月齢超に緩和した。
●ゲノム編集
●ゲノム編集技術の規制に関する専門家見解

 ゲノム編集技術についての専門家による見解が「Asian Biotechnology and Development Review」に発表された。それによると、市場化する前の監督や関係者の関与の必要性を認める一方で、規制等では意見が割れている。従来の遺伝子組み換え技術より規制をゆるくすべきだという意見と、開発の速さにリスク評価や規制システムが対応できない可能性があるのでより注意を払うべきだという意見が示されている。〔ISAAA 2016/06〕


●ゲノム編集技術を用いて、人の膵臓を持つ豚を作成

 カリフォルニア大学デービス校で、人間の臓器を成長させる豚を開発するため、人間と豚のハイブリッド胚の作成を進めている。作成にはゲノム編集とiPS細胞が用いられる。作成された豚は、外見は豚だが人間の細胞で作られた膵臓を持つことになる。研究者は、CRISPR/Cas9技術で豚のDNAの一部を止め、その後ヒト膵臓が成長できるように人間のiPS細胞を注入した。〔ISAAA 2016/06〕