■200年月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●海外事情
コーンゲート事件で揺れるニュージーランド

 ニュージーランドでは、遺伝子組み換え作物の栽培が2001年10月から2年間禁止されていた。このモラトリアムが10月29日に終了するのを機に、もともとGM推進派のヘレン・クラーク政権は、遺伝子組み換え作物解禁に踏み切る構えを見せていた。しかし、解禁どころか、政権を揺るがすスキャンダル「コーンゲート事件」が再燃している。
 このスキャンダルは、2002年7月10日に刊行された「Seeds of Distrust(疑惑の種子の意)」によって、米国産トウモロコシの種子にGM品種が混入していたこと、その事実をもみ消すためにニュージーランド政府が種子のGM混入率を新たに設定したこと、種子企業ノバルティス社のロビー活動によって、食品として流通するに至ったこと、などが暴露された。
 クラーク政権は、事件に関する資料を公開してなんとか乗り切ったが、この8月に資料の一部が隠されていたことが明らかになり、スキャンダルは再燃した。〔日経バイオテク・オンライン 2003/9/19〕

イタリア政府とモンサント社が痛み分け?

 モンサント社がイタリア政府による遺伝子組み換え食品の販売禁止措置を訴えていた裁判で、欧州法廷最高裁は、遺伝子組み換え食品が健康に及ぼす明確な証拠がある場合に限り、緊急に禁止措置を取る権利を有する、という判決を下した。この判決に対して、イタリア政府とモンサント社はともに「勝訴」と述べている。両者の論争の舞台はイタリアの法廷に移り、2000年に遺伝子組み換えトウモロコシを禁止したことが正当だったか否かが争われる。 〔ガーディアン 2003/9/10〕

インド農民が旧モンサント社施設を襲撃

 8月12日、インドの農民40人以上が、南インド・カルナータカ州のバンガロールにある、かつてのモンサント社の研究施設を襲撃した。旱魃による不作や借金の増大で自殺する農民が増加しており、その原因の一つが遺伝子組み換え作物にあると考えた農民たちが、移転を事前に知らずに襲ったようである。 〔BBC News 2003/9/11〕

遺伝子組み換え作物栽培禁止をめぐり、欧州委員会とオーストリア政府が対立

 欧州委員会は、9月2日、オーストリア政府が出していた、北オーストリア州でむこう3年間遺伝子組み換え作物栽培を禁止したいという要請を拒否した。同州は山岳地帯で、農業の存続のために有機農業を推進している。遺伝子組み換え作物が有機農業を脅かすための要請だったが、EUではGM農業、慣行農業、有機農業の3つの農業の共存のための指針を出し、小さな地域の遺伝子組み換え作付け禁止は容認するが州政府単位の広域での禁止措置は認められない、としている。今後、EUにおける3つの農業の共存政策をめぐって、有機農作物におけるGM品種の混入を認めるか否かが焦点になりそうだ。〔GM WATCH daily 2003/9/2〕

英国の市民法廷がGM作物に判決


 英国のニューカッスル市とハートフォードシャー州のセント・アルバン市の2カ所で市民法廷が開かれた。15人ずつ計30人の陪審員で構成され、多分野の専門家から6週間にわたって証言を聴き判決がまとめられた。資金は、消費者協会、グリーンピース、生協、ユニリーバが提供した。判決の内容は、バイオ産業による商業栽培の自主規制を今後も継続すべきだというものだった。 〔BBC News 2003/9/8〕

英国ブリストル市がGM拒否

 英国ブリストル市議会は、遺伝子組み換え作物の栽培を認めない方針を可決した。この決定は、すでに施行されている、学校や福祉施設の食事から遺伝子組み換え食品を排除する施策を補強するものである。英国では、今年2月に、南グロースターシャー州が遺伝子組み換え作物拒否を宣言しており、このような自治体の動きが拡大する傾向にある。 〔BBC News 2003/9/10〕

台湾でGMパパイヤが栽培されていた!


 9月15日、台湾で2本の遺伝子組み換えパパイヤの作付が発覚した。これは、パパイヤ・リングスポット・ウイルスに抵抗力をもつ耐病性パパイヤで、1998年から農業協議会が研究していたものの、台湾では栽培も流通も認められていない。農業協議会のある台中郡で発見されたことから、ずさんな管理が原因とみられている。〔台北タイムズ2003/9/16〕