■2024年4月号

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バイオジャーナル

ニュース


●フードテック
●シンガポールの市場から培養肉が消える

 世界で初めてシンガポールで培養肉の販売を開始した米国イートジャスト社の培養肉部門のグッドミート社が、シンガポールでの培養鶏肉の製造や販売を一時的に停止したことがわかった。この培養肉を扱っていたレストランが提供を停止しており、シンガポールの工場は閉鎖されている。売り上げ不振が原因と見られる。〔Foovo 2024/3/6〕

●韓国が培養肉の承認申請の受付開始

 韓国の食品医薬品安全庁が承認基準を告示し、培養肉の承認申請の受付を開始した。すでに同国では数社が培養肉に取り組んでおり、申請を行うと見られる。早ければ来年から市場化が始まる可能性が出てきた。〔Foovo 2024/2/23〕
●ヒトゲノム
●多団体によるヒトゲノム編集に関する提言

 70を超える個人や団体で構成するジェンダーの公平と障害者の権利国際連合は、人間の遺伝子に介入するヒトゲノム編集の応用を国際的に審議するにあたり、社会的公正と人権に関する11項目から構成された提言をまとめた。日本の団体では、インターセックス国際機構(Organisation Intersex International:OII)の日本支部が名前を連ねている。提言では「ヒトゲノム編集は将来の世代の遺伝子や形質を変えることになり、不平等や差別をいっそう根付かせる形で社会を変える可能性がある」と指摘し、「遺伝に影響する形でヒトゲノム編集を進めることに対しては正当化する根拠がない」と指摘した。11項目は以下のとおりである。

@女性、とくに妊娠中の人々の生殖に関する健康と安全を確保し、人体実験がもたらす危険がないようにする。
Aすべての人々のジェンダーの公平と生殖に関する公正を守る。
Bすべての生命と身体、知性、能力の多様性を尊重する。
C優生学の遺産を解体し、優生学への動きに立ち向かう。
D健康についての包括的な理解を促進する。健康および関連する情報へのアクセスを保証し、障害のある人々に対する差別がないようにする。
E健康上の不平等を解消し、差別をなくし、すべての人の繁栄を促進するための社会および政策の変更を優先する。
Fこの技術に関する政策決定において、将来の世代および遺伝的ゲノム編集を通じて生まれたすべての人々の権利、利益、福祉を守る。
G遺伝物質および生物学的データを自ら管理する権利を確保する。
H政策決定において予防原則を適用する。
I経済的利益よりも人間を優先する。
Jすべての人の共通の利益のために、また包括的な意思決定を確保するために、政府の権限を抑え、公共利益を図るための計画を実施する。
〔The Center for Genetics and Society 2024/2/27〕