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ニュース
●省庁動向
農水省発表、GM作物の長期栽培による環境への影響
農水省は7月18日、「遺伝子組換え農作物の長期栽培による環境への影響について」を発表した。調査対象作物は、除草剤耐性大豆、同ナタネ、同トウモロコシとウイルス抵抗性イネの4種類で、除草剤耐性作物はいずれもラウンドアップ耐性である。調査は2001年から2005年にかけて行われた。植物相、昆虫相、土壌微生物相、後作の生育及び収量などへの影響を、慣行農業と比較したもの。今回は、ナタネ畑1平方メートルに出現した植物の種類、トウモロコシ畑では昆虫クサキイロアザミウマの推移、大豆畑では乾土1g当たりの生菌数、の3種類が調査された。
英国で行われた同様の調査では、使用した除草剤の違いが生物多様性に大きく影響していたが、今回の調査ではどのような除草剤を使用したかは示されていない。英国では周辺への影響も調査されたが、これもまた示されていない。報告された内容も、昆虫が1種類だったり、生菌については量だけで種類の違いが示されていなかったり、イネに関しては何も触れられていないなど、お粗末なものだった。しかも後作への影響についても「差異は認められなかった」と述べているだけである。
農水省がGMナタネ自生調査状況を発表
7月18日、農水省は茨城県鹿島港周辺のGMナタネ自生調査結果を発表し、一部で世代交代が起きている可能性は高いが生育の拡大は起きていない、と結論づけた。この間の市民による調査や働きかけで、港やその周辺では清掃や管理が強化されている。その事情を考慮せず、従来の「生物多様性影響の評価の考え方や内容は適切であると確認された」と述べている点は、現実離れした結論といえる。
●自治体動向
都道府県のGM作物栽培規制条例・指針の現況
現在、自治体で食の安全・安心条例の制定が進んでいる。その条例の中に遺伝子組み換え作物の交雑・混入防止が盛り込まれるケースが増えている。北海道や新潟県のように、さらに別枠で独自のGM作物栽培規制条例を制定する自治体もある。また、滋賀県・岩手県のように独自の指針を策定しているところもある。このような自治体の動きに対抗して農水省は、3つの農業(GM
農業、慣行農業、有機農業)の共存法制定に向けた動きを見せている。現在都道府県でなんらかの規制を設けたところを表1 にまとめた。
表1 都道府県のGM作物栽培規制条例等
●食の安全・安心条例中にGM作物交雑・混入防止の項目をもうけたもの |
左記の条例施行に伴う具体的対応 |
北海道「北海道食の安全・安心条例」(2005年4月施行)
新潟県「にいがた食の安全・安心条例」(2005年10月施行)
千葉県「千葉県食品等の安全・安心の確保に関する条例」(2006年4月施行)
京都府「京都府食の安心・安全推進条例」(2006年4月施行)
徳島県「徳島県食の安全安心推進条例」(2006年4月施行)
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北海道「遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例」(2006年1月施行)
新潟県「新潟県遺伝子組換え作物の栽培等による交雑等の防止に関する条例」(2006年5月施行)
千葉県 指針検討中
京都府「遺伝子組換え作物の交雑混入防止措置等に関する指針」(案)
徳島県「遺伝子組換え作物の栽培等に関するガイドライン」(2006年5月策定)
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独自の指針・方針 |
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茨城県「遺伝子組換え農作物の栽培に係る方針」(2004年3月策定)
滋賀県「遺伝子組換え作物の栽培に関する滋賀県指針」(2004年8月策定)
岩手県「遺伝子組換え食用作物の栽培規制に関するガイドライン」(2004年9月策定)
東京都「都内での遺伝子組換え作物の栽培に係る対応指針」(2006年5月策定) |
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●遺伝子組み換え花卉
サントリーが今度は黄色いGM花を開発
サントリーは東北大学と共同で、GM技術を用いて黄色いトレニアを開発した。この花は、キンギョソウのオーロンと呼ばれる黄色色素の合成遺伝子を用いたもので、青色トレニアを黄色に変換させた。今後、黄色い花が咲かないゼラニウム、セントポーリアなどへの応用が図られるものと思われる。
〔サントリー、プレスリリース 2006/7/11〕
●クローン
ヒト・クローン胚解禁をめぐり公聴会開かれる
6月20日、ヒト・クローン胚の作成・利用に向けて検討している文科省の作業部会で報告書がまとめられ、3日後の23日には親委員会にあたる「特定胚及びヒトES細胞研究専門委員会」で承認された。報告書では、研究に用いる卵子(未受精卵)は不妊治療目的で採取され使用されなかったものや、性転換手術などの際に摘出された卵巣に限定し、ボランティアによる無償提供は当面禁止とした。これらに対する意見を聞くため、7月29日には難病患者団体や不妊セルフケアグループ、再生医療研究者などを招いての公聴会が大阪で開催され、8月26日には東京で開かれる予定だ。報告書は一般からの意見募
集を8月末まで行ったのち、9月頃を目途に内閣府の総合科学技術会議に諮問される。
体性幹細胞からの生殖細胞作成を検討
8月2日、文科省の生命倫理・安全部会(科学技術・学術審議会)が開催され、骨髄細胞などの体性幹細胞からの生殖細胞作成の是非を新たな検討課題として加えることを決めた。現在、ヒト・クローン胚研究に用いる未受精卵不足解消の切り札として、専門委員会ではヒトES細胞からの生殖細胞作成を認め、指針改定のための議論をしている。ここにさらに体性幹細胞を加え、未受精卵の大量生産を可能にしようというのだ。国際的な研究動向としては、2005年7月に米国の研究者がマウスの骨髄や血液中に卵子のもとになる細胞が存在することを報告した。だが、翌06年6月には他の米国の研究者がそれを否定する論文を発表している。
今月のGMO承認情報 |
表2 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧 |
生物多様性影響評価検討会総合検討会 |
作物 |
性質 |
申請(開発者) |
名称 |
認可日* |
大豆 |
除草剤耐性 |
バイエルクロップサイエンス |
A2704-12, OECD UI:ACS-GM005-3 |
7月31日 |
大豆 |
除草剤耐性 |
バイエルクロップサイエンス |
A5547-127, OECD UI:ACS-GM006-4 |
7月31日 |
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*正式にはパブリックコメントの後に認可される。
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