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今月の潮流●中国につづき、米国で未承認GMイネ流通
2006年8月18日、ドイツのバイエル・クロップサイエンス社は、未承認GMイネ「LLライス601」が流通していることを、米国農務省(USDA)と米国食品医薬品局(FDA)に通知した。昨年中国で発覚したGMイネ違法栽培・流通につづく、未承認米混入事件である。また、バイエル・クロップサイエンス社は2000年、アベンティス社の時代にスターリンク事件を引き起こしており、2度目の違法流通となる。
8月21日、このGMイネを最初に確認した米国最大の米販売業者である農民組合ライスランドは、LLライス601がアーカンソー、ミズーリ、ミシシッピ、ルイジアナ、テキサスの5つの州で見つかったことを明らかにした。LLライス601は、1998年から2001年にかけて野外実験が行われたものの、その後は栽培されておらず、すでに5年が経過している。混入がなぜ起きたのか、原因は発表されていない。 〔ニューヨーク・タイムズ 2006/8/22〕
日本では農水省が輸入停止を指導したが、8月31日には日本製粉が米国から輸入した雑穀の中に長粒種米が含まれていることがわかり、出荷を停止した。日本につづきEUもまた、証明書を義務づけるなど輸入規制にふみきったことから、米国産米の価格は暴落した。被害を受けたアーカンソー、ミズーリ、ミシシッピ、ルイジアナ、テキサス、さらにカリフォルニア州の農家が同社を提訴するなど、波紋は広がっている。〔ロイター 2006/8/29〕
表1 これまでに起きた主な未承認GM作物混入事件
年 |
未承認GM作物/開発企業 |
栽培国 |
2000年 |
スターリンク(トウモロコシ)/アベンティス(現在のバイエル・クロップサイエンス) |
米国 |
2001年 |
ニューリーフ・プラス(ジャガイモ)/モンサント ニューリーフY(ジャガイモ)/モンサント |
米国・カナダ 米国・カナダ |
2002年 |
Rainbow(パパイヤ)/アップジョン他 |
米国(ハワイ) |
2005年 |
Bt10(トウモロコシ)/シンジェンタ Btイネ(イネ)/湖北省武漢農業大学 |
米国 中国 |
2006年 |
LLライス601(イネ)/バイエル・クロップサイエンス |
米国 |
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