■2007年1月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●英国がGMジャガイモの試験栽培を承認

 英国政府は、ドイツの化学企業BASF社が申請していたGMジャガイモの栽培試験を承認した。栽培は、2007年4月からケンブリッジシャーとダービシャーの2カ所の圃場で行われる。このGMジャガイモは耐病性で、すでに同様の試験がヨーロッパ3カ国で行われている。〔ロイター 2006/12/01〕

●食用GM綿開発される

米国テキサスA&M大学の研究チームは、食用になる綿を開発したと、全米科学アカデミー紀要に発表した。綿の種子には有害な成分ゴシポールが含まれており、種子から油を絞った絞りかすは、ゴシポールを安全に消化できる牛などの飼料に用いられてきた。そのゴシポールを種子から取り除いたために食品にも用いることができるという。 〔AP 2006/11/26〕
●省庁動向
●スギ花粉症緩和イネ人体実験へ

 11月29日、つくば市にある農業生物資源研究所は、スギ花粉症緩和イネ「キタアケ」の収穫を公開した。8月に収穫したものを含めて450sとなり、これらのイネを用いて、来年には安全性評価のための人体実験を行う。  また、来年から農水省の委託事業として徳島県小松島工場内の温室でスギ花粉症緩和イネの栽培を始める日本製紙は、11月27日付で市民団体の質問に対し、年間700 sを生産する能力があること、品種は「日本晴」を用いること、説明会を開催する予定はないこと、などと答えたが、詳しくは農水省との契約に守秘義務があるため回答できないとした。
●GMOフリー
●ロシア最大の食品メーカーがGMOフリーを採用

 ロシア最大の食品メーカーで、国内に供給する大豆の70%を扱うSodruzhestvo社が、カリーニングラードに建てた新しい工場で、GMOフリーをスタートさせた。工場でつくられる食用油・飼料の原料である大豆とトウモロコシは、すべて非GMとすることになった。〔GM Watch 2006/11/25〕
●遺伝子汚染
●ニュージーランドのGM種子汚染の波紋

 ニュージーランドが米国から輸入したスウィートコーンの種子が、GM品種によって汚染され、その対策に多額の費用がかかることがわかった。同国が輸入した汚染種子は4420sに達し、その内3分の2がホークベイ、ギズボーン、アシュバーレンの25農場373haに播かれていた。汚染除去のために政府は、約100万ドルの出費を強いられる。 〔NewZealand Press Association 2006/12/07〕
●バイオ燃料
●増大するバイオ燃料はGM作物で

 このところGM作物の栽培拡大とバイオ燃料開発を結びつける報告が相次いで出されている。11月21日には、米バイオテクノロジー産業協会がバイオ燃料に関する報告書を出した。米国農業がバイオ燃料工業の原料生産を担えるかどうか、その対応策を提案している。また、17日には、米国農務省がバイオ燃料産業の発展のためには、さらなる規制緩和の必要があると言及している。〔日経バイオテク 2006/12/4ほか〕  同じ週にテネシー大学の研究チームは、米国でのバイオ燃料を目標に到達させるためには現在の農地8億エーカーに加えて、新たに1億エーカーの農地と牧草地で燃料用作物を栽培しなければならなくなるという報告をまとめた。  11月16日、米国のバイテク産業に関する民間機関である全国食料農業政策センターが、GM作物が米国農業に及ぼす効果についての報告書をまとめ、発表した。その中で食料・燃料両方の需要を満たすためにGMトウモロコシの栽培面積を拡大することが必要だと述べている。 〔Agriculture online news 2006/11/21 など〕  また、日本では独立行政法人・農畜産業振興機構が「米国の農業に抜本的な変化をもたらすバイオエタノール生産」と題する報告書を出した。そこではミネソタ州での現地調査をし、米国では政府の支援を受けてバイオ燃料が増加の一途をたどっており、「中期的に見て地球規模で有望な唯一の代替エネルギーである」とまとめている。
●ヒト胚
●ヒト胚の入手方法で研究者が規制緩和訴える

 2006年12月8日、ヒト胚の作成・利用に関する指針作りを進めている文科・厚労の合同専門委員会が開催され、研究に用いられる胚の入手方法についての検討が行われた。現行のヒトES細胞指針では、生殖補助医療で未使用の凍結保存されている胚で、夫婦双方の了解が取れたもののみ研究に使えることになっている。現在作成中の指針は生殖補助医療目的の研究に限定されているが、そこで用いられるヒト胚に変わりはない。京大大学院教授・位田隆一と上智大大学院教授・町野朔は、ヒトES 細胞指針と同じ条件にするべきと述べた。この2 人の法学者に対し、研究者サイドは激しく反発。京大再生医科学研究所所長・中辻憲夫らは、夫婦どちらか一方の了解で使えるようにするべきと主張した。議論は平行線のまま時間切れとなり、結論は次回以降に持ち越されることとなった。

今月のGMO承認情報
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧
生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
テンサイ 除草剤耐性 日本モンサント H7-1,OECD UI:KM-000H71-4 11月30日
ダイズ 高オレイン酸 デュポン 260-05,OECD UI:DD-GM0 26005-3 11月30日
*正式にはパブリックコメントの後に認可される。