戦艦アメリカ級(米)

  アメリカ(BB79)
  インデペンデンス(BB80)
  ユナイテットステーツ(BB81)
  コンステチューション(BB82)

 本級は、米国が自信と決意を持って建造した米国戦艦史上最大最強の20"砲搭載戦艦であり、主砲には、世界最強級の50口径20"砲Mk2連装砲4基8門が搭載された。
 この砲は、それまでの米国戦艦が歩んできた45口径砲、50口径砲、そして砲弾直径の拡大と言う慎重な発展パターンを破り、45口径18"砲Mk3から途中の50口径18"砲と45口径20"砲を抜かして、一足飛びに50口径20"砲へ到達させた超高性能砲であった。
 また、この砲は、弾重約2000sのSHS弾を初速740m/sで1分間に2発も発射する事が可能で、その性能と威力は間違いなく世界最強級火砲のひとつであった。
 本級は、この高性能砲を主砲砲門数で日本の尾張型の6門を上回る8門を搭載しており、20"主砲9門を搭載する英国のバンガード級や日本の薩摩型と比較しても優れた主砲発射速度とSHS弾の採用により投射弾量では拮抗していた。
 また、補助火砲として副砲にウースター級軽巡洋艦の主砲用に開発された発射速度の速い最新型の47口径6"DP Mk16連装両用半自動砲が優先的に搭載されている。
 この砲の搭載により米国戦艦の補助砲は、再び1種類の両用砲で統一された。
 ちなみに英国のバンガード級や日本の薩摩型は、6"半自動両用砲と4"〜5"級の高射砲を混在して搭載していた。
 このように強力な攻撃力に加え本級の防御力は、その巨大な排水量に支えられた装甲防御と米国の得意とするダメージ・コントロール・システムによる回復力で尾張型はもちろん、バンガード級すら凌駕していると考えられるため実際には日本の戦艦薩摩登場まで世界最強の資格を充分に持つ戦艦であった。
 本級の装甲は、主砲塔正面で457o+406mmの863mm、主砲塔天蓋が356o、砲塔基部762o、舷側装甲帯が508o、船体部垂直防御装甲が防御甲板の279oを中心とする四層の装甲で412mmと極めて強力だったが、それでも英国のバンガード級や日本の薩摩型と比べると装甲の厚さが若干薄目であった。
 本級は、1943年に建造が開始されているため、条件さえ整えば30000m以遠の遠距離で命中弾を次々と発生させる日本軍戦艦の射撃に対する対策として、もう少し垂直防御装甲が強化されていても良さそうなのだが、装甲による直接防御力が低めに抑えられていた。
 これは、主に砲塔の重量限界に関する問題と、主砲塔が3基の日英戦艦と比較して主砲塔を4基装備しているため装甲で防御するべき主要防御部の容積が大きくなっていた事が理由と考えられる。
 そのため本級は、直接防御力を強化する代わりに、船体主要防御部の区画を増やし、加えて高度なダメージ・コントロール・システムを搭載する事で間接防御力の強化により相対的な防御力の向上を図っていた。
本級の航行能力についても、その強大な排水量により極めて安定性が高いばかりでなく、最高速力28.1ノット、航続力15ノットで12500海里と極めて優れたものだった。
 本級の1番艦アメリカは、1943年初頭に着工されたのだが、米国が誇る世界最大規模の工業力にものを言わせた突貫作業により2年9ヶ月と言う短期間で建造され、1945年8月に就役した。しかし、就役が日本の20"砲搭載戦艦尾張の就役に3ヶ月程遅れたため世界最初の20"砲搭載戦艦の座を逃してしまった。
 これは、1945年の4月末だった就役予定日が、3ヶ月余り遅延したためだが、その理由は、戦艦アメリカの建造途中に入手された情報で、日英の20"砲搭載戦艦である薩摩型とバンガード級に対抗するため、装甲の部分的な強化や最新のダメージ・コントロール・システムの追加等の防御力強化に関する設計変更が行われ、そのため4ヶ月近い建造期間の延長が生じた事によるとされる。
 また、このため同じく1943年に若干遅れて着工された2番艦インディペンデンスの就役は、大戦終戦後の1945年冬となった。ちなみに1944年に着工された3番艦のユナイテットステーツと4番艦のコンステチューションは、大戦終結のため建造ペースが落ち込み、そろって1947年秋に就役している。
 第二次世界大戦中期に至り、米海軍内部では海軍戦力として艦載機と空母の評価が著しく上昇しはじめていたが、それでも本級は、米国海洋戦略の要と考えられて優先的に建造され、そのため同型艦4隻に、米国の意志の現れと言える強い政治的意味を持つ艦名が選ばれていた。
 しかし、本級で第二次世界大戦中に艦隊へ編入できたのは、1番艦のアメリカのみであり、そのアメリカも直接水上戦に参加する事はなかった。
 このように第二次世界大戦の戦局への貢献は極めて少なかった戦艦アメリカだったが、終戦後のレイキャビク会議にトルーマン大統領の乗艦として、はじめて枢軸国側にその姿を現した。この戦艦アメリカの偉容は、チャーチル首相の乗艦である英国の戦艦ロード・ネルソンや東郷全権大使の乗艦である日本の戦艦常陸を圧倒し、会議や中小国の動向に少なからぬ影響を与えたのである。
現在では、本級4隻と英国のバンガード級2隻、そして日本の薩摩の計7隻をまとめてビック・セヴンと呼ぶ。

 基準排水量102000トン 満載排水量121000トン
 最高速力28.1ノット 航続力15ノット/12500海里
 主武装20"U×4 6"U×G 40mmMGW×O
    カタパルト×2 航空機×2〜4 他

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