鋼鉄の巨獣シリーズ

●シリーズ作品
 ・帝国陸軍戦車隊
 ・ティーガー重戦車大隊
 ・パンテル旅団
 ・駆逐戦車大隊
 ・最終部隊(ラスト・バタリオン)

●作品の解説

 HJ社の「戦車戦」、「戦車戦U」で感じた物足りなさと違和感を基にデザインされた戦闘級戦車戦シミュレーションゲームで、「空母瑞鶴航空隊血風録」シリーズと並ぶEEG初期の大作シリーズである。



○五式改重戦車(オハ)/五式改二重戦車

登場作品:鋼鉄の巨獣シリーズ1 帝国陸軍戦車隊

 五式改重戦車は1945年に大日本帝国陸軍が開発した五式戦車の量産型をEEGがでっち上げた重戦車で、試作車との主な変更点は、攻撃力面で主砲を四式七糎高射砲から九九式8糎高射砲(88o砲)に換装し車体前面の三七粍砲を九二式一三粍機関銃に換装した事、防御面では車体前面を海軍から譲られたCNC鋼で作られた傾斜装甲に変更した事(操縦士はペリスコープを使って視界を得る)と砲塔前面に鋳鋼製防板を設けた事である。
 この改造に伴い車体重量が増加して機動性が多少低下しているが出力・重量比はティーガーT重戦車より大分ましだし76o長砲身砲装備のM4シャーマン中戦車と攻防力の面で対等以上に戦えるようになった。
 また、五式改二重戦車は五式改の装甲を更に強化し、主砲を計画のみに終わったとされる試製五式長砲身九〇粍加農砲に換装した強力な重戦車で当然ながら五式改以上の車体重量増加のため一段と機動性が低下しているが、それでも出力重量比はIS2スターリン重戦車やティーガーT重戦車よりましだし(史実でも五式戦車の試作車は試験走行において三式中戦車を凌ぐほど極めて軽快に走ったと伝えられている)、攻防力ではM26パーシング重戦車と対等以上に戦える最強戦車である。
 ゲームにおいては、太平洋戦争末期の日本軍戦車が持っていた決定的な問題点であるニッケル等の不足により装甲および砲弾の強度が列強各国と比較して低い(同じ厚さや大きさで強度か8割程度しかない:加えて日本陸軍の徹甲弾は最後まで被帽徹甲弾が開発されなかったため一段と性能が低い)問題や試作型五式戦車も含めて、キャタピラやサスペンション、トランスミッション等の走行系から発生するであろう多くの問題は敢えて作品のデータへ反映せず、欧米の一般的な技術レベルに匹敵しているとしてデータ化(一部を反映したデータはリアル・ジャップとして別に発表した)しているため極めて有力な戦車となっている(ゲーム内での総合的な性能では三式中戦車<75o砲搭載型M4シャーマン中戦車<四式中戦車≦76o砲搭載型M4シャーマン中戦車<五式改重戦車<M26パーシング重戦車<五式改二重戦車<M26E1スーパーパーシング重戦車の順だろう)。



○五式重砲戦車

登場作品:鋼鉄の巨獣シリーズ1 帝国陸軍戦車隊

 和製エレファント重突撃砲である。
 太平洋戦争終結までの大日本帝国陸軍戦車を紹介する書籍に簡単なイラストと解説が掲載されている程度の計画車両で、五式戦車の発動機を車体中部へ移し、車体後部へ固定式装甲戦闘室を設け、そこへ長砲身100粍砲を搭載するそのデザインと性能は和製エレファント重突撃砲としか言いようがない化け物戦車である。
 また、データをでっち上げるさいにEEGはその主砲を九二式一〇糎加農砲から海軍の九九式一〇糎高角砲に変更して一段と攻撃力を増大させている。
 なにしろニッケル不足で強度に問題がある陸軍の砲弾と違って海軍の砲弾の強度は優秀だし(あくまでも帝国陸軍と比較してである)、その対艦用徹甲榴弾(海軍では大口径弾用被帽徹甲榴弾を開発していたが、小口径用はなかった。これは技術的問題ではなく必要性の問題であった)は初速が1000m/s(九二式は760m/s)にも達するので極めて強力で米軍最強のM26パーシング重戦車ですら1000m以上の遠距離で簡単に破壊することができる性能(ここまでの砲弾威力があると、例え装甲が貫通されなくても弾着衝撃で戦車が壊れる)を持っている。
 また、防御力も車体や砲塔の前面では五式戦車の装甲板の上から追加装甲を2重にして装備しているため実に150oをこえる充分な防御力を有している。この装甲の2重装着は厚い装甲板が用意できない時に有効でナチス・ドイツがV号戦車やエレファント自走砲等で採用している。もちろん日本も九七式改中戦車等が試みている実績がある。1枚の厚い装甲より劣るが効果は大きい。
 ゲームにおいては、こちらも太平洋戦争末期の日本軍戦車が持っていた決定的な問題点を作品のデータへ反映していないため極めて強力な大日本帝国陸軍の切り札的砲戦車となっている。
 米軍戦車隊は、守りに入ったこの砲戦車と開けた地形で遠距離交戦を行うことは極力避けるべきである。



○五式軽砲戦車

登場作品:鋼鉄の巨獣シリーズ1 帝国陸軍戦車隊

 和製ヘッツァー駆逐戦車である。
 太平洋戦争終結までの大日本帝国陸軍戦車を紹介する書籍に簡単なイラストと解説が掲載されている程度の計画車両で、九五式軽戦車の車体に軽装甲を施した密閉固定式戦闘室を設け、操縦士を避けるため車体軸から若干オフセットされた位置に一式四七粍速射砲を搭載する対戦車車両で、そのデザインと性能はヘッツァー駆逐戦車を一回り小さくしたプチ・ヘッツァー駆逐戦車としか言いようがない可愛らしい砲戦車である(実はイタリアの軽突撃砲が一段と酷似しているが知名度が低いので)。
 しかし、姿形は可愛らしいとは言っても車体となる九五式軽戦車は信頼性と機動性が高く車体も小型軽量であり、搭載される一式四七粍速射砲は沖縄戦等でM4シャーマン中戦車に対して側面および背面なら500m程度の距離から有効(沖縄戦ではこの速射砲により多くのM4戦車が損害を受けている)な実績がある事から地形を選べば待ち伏せとヒット・エンド・ラン戦術の併用で有効な対戦車戦力となる事が予想される。
 また、耐破片防御程度の弱装甲とは言え車体全体を装甲で覆っているので一式機動速射砲や1式砲戦車と比べて事前砲撃等に対する残存性も向上している。
 加えて本車はキャタピラを幅広の新型に変更する計画があり不整地走破性の向上も期待できた。
 山椒は小粒でもピリリと辛いと言ったところか。
 ゲームにおいては、こちらも太平洋戦争末期の日本軍戦車が持っていた決定的な問題点を作品のデータへ反映していないため(一部を反映したデータはリアル・ジャップとして別に発表した)一段と有力な軽駆逐戦車となっている。
また、この五式軽砲戦車は他の計画/架空戦車と比べて極めて実現性が高く、投入時期的にもフィリピン戦や沖縄戦に間に合わせる事が不可能ではない兵器であるため、実現化されなかった事が惜しまれる兵器である。
 ただし、基本的に相打ち狙いの特攻戦車と言う意味で四式砲戦車と共通する部分が大きい事は認める。
 ゲームでも活躍する事は難しくなくても、生き残る事は難しい悲劇的な存在であるが三式砲戦車や五式重砲戦車の支援等には最適な戦場の名脇役である。



○六式超重戦車(−〇〇噸戦車)

登場作品:鋼鉄の巨獣シリーズ5 ラスト・バタリオン

 研究試作のみに終わったとされる百二十トン重戦車の量産型をでっちあげたもので、取りあえずもの凄い戦車であるから真面目な突っ込みは御容赦願いたい(某仮想戦小説に登場するイカズチと言う戦車もモデルの一部となっている。砲塔上の20粍機関砲はメタリック・シンバかも・・・オリジナルにも小砲塔が付いていた)。
 なにしろ、最大装甲厚さ200o以上と重装甲を持つ120トン近い鋼鉄の塊である巨大な車体をデチューンした航空機用発動機2基を使って走らせる化け物で、その主砲には海軍の九九式一〇糎高角砲(オリジナルは九二式一〇糎加農砲か?)を搭載する。
 加えて主砲同軸に九〇式七五粍榴弾砲を搭載し、砲塔後部上には対空および近接防御用にオープントップの小型装甲砲塔へ九八式二〇粍連装自動砲までが装備されている強力な武装を持つ陸上軍艦でナチス・ドイツのマウスやE−100を上回る超妄想戦車である。
 もっとも妄想戦車と言ってもオリジナルの百二十トン戦車は、自走すら不可能だった百トン戦車と違い、最低限の機動性が確保されていて太平洋戦争末期には満州での実戦試験が検討されたとの関係者の証言もあるので、全くダメと言う物でもないようである。まあ、マウスやE−100がダメだった事と大した差は無いのだが。
 また、オリジナルにあった車体前面の四七粍速射砲搭載小砲塔(九七式改や一式中戦車の砲塔に類似)は防御上の問題点となるので廃止した。それから本車は、その図体と機動性故にマウスやE−100と同じく歩兵の近接攻撃には、対処し難い重大な弱点もある。
 ゲームにおいては、ドイツ軍の超重戦車であるマウスやE−100と正面から殴り合いが可能な唯一の戦車だが、根本的に物理学の範疇から外れている部分がありEEGお得意のお遊びの産物と言ったところである。
 ただし、満州へ侵攻したソ連軍大戦車部隊を六式超重戦車が迎え撃ち、スターリン重戦車やISU122重駆逐戦車すら簡単に蹴散らしていく姿は、日本軍プレイヤとしては気持ちが良いものかもしれない。なにしろあのスターリン重戦車が肉薄突撃を強制されるのだ。もっともあまり良い趣味の戦いとは言えないのだが・・・。


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