安田しん二の楽器

 私、安田しん二が使用してるキーボードを紹介致しま〜す。

キーボード

 アナログのキーボードの多くは、現在のシンセの様に沢山の音色は持ってませんが、そのプレイヤーによって音質が様々な物が多いです。
 私は以前はシンセを多用してましたが、現在ではそれらを使う事はほとんど無く(まだ持ってますが…)、その代わりにこれらのアナログ・キーボードが活躍してくれてます。
 これらのキーボードの難点は、メンテもそうですが、やっぱり場所を取るってところです(どれも重いし……)。しかし、難点が多い分、その音色は「素晴らしい!」の一言に尽きます。


メロトロン 400

 1960年代、1970年代のプログレッシヴ・ロックを語る上で、決して欠かせないのがメロトロンです!ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォー エヴァー」や、キング・クリムゾンのファースト、『クリゾン・キングの宮殿』や、ムーディー・ブルースなどの一連の作品は、実はこの400ではなく、マークIIというダブル鍵盤のモデルで、400の方は1970年から造られ、リック・ウェイクマンやストロウブスのジョン・ホーケン、クリムゾンのデヴィッド・クロスらが使ってたお馴染のモデルです。
 メロトロンは、この楽器の中にテープが入っていて、それを再生する事によって音を出します。メロトロン自体は録音は出来ないので、再生専用のアナログ・サンプラーです。テープの再生時間は8秒位で、ループ音では有りません。音は、テープの回転むらなどが有る事がかえってノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。つまり、サンプラーとは言っても、生の音の代用と言うよりは、ちゃんと「ザ・メロトロンの音」と言うのが有ります。
 400の場合、音は3種類選べて、私のは最もノーマルなフルート、ストリングス、チェロという組み合わせのやつでしたが、最近、ストロウブスが所有してた、混声コーラス、フルート、3ストリングスというテープに付け替えました。
 私のは一時期とっても調子が悪かったのですが、エンジニアのタッキーことタキザワオサムが直してくれました。それも本人は「わからないよ〜」と言うのを、無理やり「わからないと思うからわからないんだぁー!」とケツを叩いて直させましたら、あら見事!ホントに直ったのでした。タッキー流石!
 [写真はよすおさんが撮影]


ハモンド ポータB 1970年製

 これは1970年のレア・モデルです。普通ハモンドと言えば、B3やC3が有名ですが、私の好みでいえば、ジェネシス等のTモデルや、プロコル・ハルムの「青い影」等のMモデルが好きで、このポータBは、Lモデルのスピーカーの無い物版(小っちゃなスピーカーは付います)です。持つととっても重いです。関東地区で使う為には、60Hzを50Hzに変換する、サイクル・チェンジャーという物を付けなくてはならず、当時知り合ったばかり(と言っても顔見知り程度でした、その当時は……)のレコーディング・エンジニアのタッキーに付けて貰いました。
 [写真はよすおさんが撮影]


ヴォックス コンチネンタル・バロック

 これも超レアな楽器です。コンチネンタルは結構見掛けますが、コンチネンタル・バロック・モデルはなかなか見掛けません。2段鍵盤オルガンですが、下がヴォックス社、上がトーマス・オルガン社製という2社合体型の、マジンガーZで言う所の阿修羅男爵(ちょっと違うかな?)の様なモンでしょうか?音の方は、とってもオチャメでオキャンピーな音がします。
 このオルガン、とても音の密度が濃いです。シンセなどのコンボ・オルガンのレプリカ音と比べても、明らかに音の立ち上がり方やらなんかが違うのであります。音色自体はこんなにカワイイのに、他の楽器にオケ中で負ける事が有りません。
 [写真はよすおさんが撮影]


ウーリッツァー A−200

 クイーンの「マイ・ベスト・フレンド」や、ダニー・ハザウェイ、カーペンターズのリチャード・カーペンター(彼は、フェンダー・ローズとしっかり使い分けている)などの使用で有名なエレクトリック・ピアノです。私のはとても状態が良く、元々は何処かの学校で使われていた物らしいです。そう言えば、ウーリッツァーといえば、ジューク・ボックスなども作ってましたっけね。
 この楽器の音の特徴は、よく黄な粉餅などに付いてくる、平べったい爪楊枝くらいの大きさの小さな振動板を叩いて、その音をピック・アップで拾い、特に低音が“ブズゥ〜ン”と歪む所が美味しいです。
 ローズなどに比べると、少しチープな音の印象を受けますが、その分、ウーリッツァーにしか無い独特の味が有ります。
 [写真はよすおさんが撮影]


ローズ ステージ・ピアノ・マーク I

 ローズのマークIです。
 普通ローズと言いますと、“コロコロ”した音で、フュージョンか、夏の高校野球甲子園大会の学校紹介の時の音楽をイメージしますが、これはピック・アップの位置が振動板に近いせいか、“ガツーン”としたサウンドです。私の大好きなP.F.M.もローズを使ってますし、なんと言っても、ビートルズのゲット・バック・セッションでのビリー・プレストンの弾くローズの音は絶品ですね。
 私には、ローズはエレピの中でももっともしっかりした音、と言った印象が有ります。特にウーリッツァーと使い分けると、よりお互いの個性を引き出し会うと思います。いつだったか試しに、このローズとウーリッツァーを同じ曲の同じ場所に入れてみましたら、見事に共存してました。
 [写真はよすおさんが撮影]


ホーナー クラヴィネット・ピアネット・デュオ

 ハーモニカやアコーディオンのメーカーでもあるホーナー社の楽器で、クラヴィネットという弦を爪で弾くエレキ・チェンバロと、ピアネットと言うエレクトリック・ピアノとの合体楽器です。ピアネットの方はとてもチープな音がします。クラヴィネットと言えば、フランク・ザッパ・バンドでのジョージ・デュークや、スティーヴィー・ワンダーや1970年代のディスコ・サウンドなどの黒人プレイヤーに人気がありましたが、リック・ウェイクマン、グランド・ファンクのクレイグ・フロストやレッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズなど、ロック・ミュージックでもかなり盛んに使われてた楽器です。
 [写真はよすおさんが撮影]


ヤマハ CP−70(レコーディング・モデル)

 日本が誇る世界のヤマハの名器で、1970年代後半に一世風靡したCPです。今は私の自宅で作曲をする為の必須アイテムになっております。特に自宅で使うのにはとても重宝します。と言うのは、音量が大きすぎず、小さすぎずで、作曲や編曲したりするのには、私にはこの位が丁度良いのです。
 これはサン(あのアンプのメーカーではありません)という会社が、グランド・ピアノのハンマーを搭載させて、カスタマイズした改造版です。普段はレコーディングで使う事はあまりありませんが、ピアノ運送業者に委託しなくても運搬出来るところが、長所だったりします………と言ってもかなり重いので、あまり頻繁に運び出す気にはなりませんが……。 
 [写真はよすおさんが撮影]


ヤマハ CP−20

 今から20年以上も前に、ローズやウーリッツァーが買えない人がこぞって買った、ヤマハのエレクトロニック・ピアノです。これは“エレクトリック(電気)”ではなく、“エレクトロニック(電子)”というところがミソで、ナント4種類の音色がプリセットされてます。プリセット音は、ピアノが2つ、ハープシコードが2つありまして、ハープシコードにピアノの音を少しだけブレンドすると、1960年代のポップスでよく聴かれた様な、何とも言えないイイ感じのハープシコードの音になります。決してシンセやサンプラーなどでは出せない、暖かい音色が特徴的です。昔、リー・リトナーのバンドで、デイヴ・グルーシンの弟のドン・グルーシンがこれを弾いてました。
 [写真はよすおさんが撮影]


ヤマハ SS−30

 まだ、ポリフォニック・シンセサイザーが有るには有ったけど、それはかなり高価で一般的ではなかった1970年代に、とても重宝されたストリングス・アンサンブル・キーボードです。
 これが発売された当時は、舶来製のストリングス・アンサンブル・キーボードのソリーナやファーストマンのストリングス・シンセサイザーも非常に高価でしたので、我々が手が届くモノと言えば、日本製のローランド社のモノしか有りませんでした。ですから、ヤマハがこれを発売開始した時は、日本のプロ&アマチュア・ミュージシャンは大変喜びました。
 しかしこの楽器のサウンドは、ソリーナに似てる様でも、使い方を一歩間違えると、「ヤマハのポプ○ン・サウンドへまっしぐら〜!」と言うキワドイ音で、とても“デンジャラス”な楽器であります。そんなこいつの事を、私は「なんちゃってソリーナ」って呼んでおります。そう言うだけあって、これを上手く使うコツは、「うわ〜〜、ソリーナっぽ〜〜い〜!」な〜んて言って、嬉しくなって使いすぎない事ですネ。
 [写真はよすおさんが撮影]


ホーナー コンサルティーナ

 ホーナー社はドイツのメーカーですが、コンサルティーナはアイルランドの音楽にもよく登場します。所謂、アコーディオンのお友達なのですが、鍵盤の代りにボタンが付いていて、蛇腹を引いた時と押した時とでは音程が変わるのです。どうやらそうでないのも有る様ですが、私のは音程が変わる方です。
 [写真はよすおさんが撮影]


ヤマハ リ−ド・オルガン

 昔なつかしい足踏みオルガンです。小学生の時に先生の弾くこれの伴奏で歌った人も多い筈です。しかもこのオルガンは私が通ってた小学校にあったもので、たまたまその時、発掘調査のバイトでそこの小学校に通ってた友達に(そこの小学校で大昔の土器か何かが発掘されたみたい)、「音楽の先生を見つけて、廃棄処分になる物がないか聞いて貰ってこいよ!」としつこく言うと、「どうやら偶然来週廃棄処分するのが、空いてる教室にいっぱい置いてあるらしい」と言うので、無理言ってそれを全部弾かせてもらい、その中から一番状態のいいモノを選んで頂いて来たのでありました。その友達は、後になって「これは俺が貰ったんだから俺のだ!!」と言いますが、「“ネコふんじゃった”しか弾けないくせに何を言ってやがる!!」と一蹴りし、私の所有物になりました。これは昭和47年に購入したものらしいです。そのノスタルジックな響きは『軌跡の影』の中の「君と僕のバラ−ド」で聴くことができます。 
 [写真はよすおさんが撮影]


エキセルシャー アコーディオン

 或る児童クラブの先生から、「昔っから置きっぱなしで要らないから」と言われて、有りがたく頂いた物です。エキセルシャーと言えばイタリア製で、アコーディオンの一流メーカーです。一流メーカーらしく、音もやはり良い音がします。しかし、アコーディオンを持つのには、慣れてないとかなり重く感じます。
 [写真はよすおさんが撮影]


ムーグ ミニ・ムーグ

 ミニ・ムーグは1970年代に生まれたシンセですが、このシンセの特徴は何しろ音が太く、ベース・シンセとして使うのであれば、他の追従を許さないところでしょう。VCAも3つも付いていて、当時としてはかなりの贅沢品であった事はたしかです。
 ミニ・ムーグはやはりチューニングに難点のある物も多い中、私のは割とまともな方だと思います。実は私は、ミディ仕様のMIDI−MINIも持ってますが、このミニ・ムーグとは音の質感が相当違うような気がします。
 [写真はよすおさんが撮影]


河合楽器 足踏みオルガン

 河合楽器社製の足踏みオルガンです。
 写真を見ると、かなりの年代物と言う事が分かって頂けると思いますが、足踏みオルガンなのに、スイッチが幾つか付いてます。実は、これはリードの切り替えスイッチなんです。これらのスイッチは、どれも手前に引く事でオンになります。
 先ず、鍵盤の真ん中から上と下で、それぞれリードが3枚ずつ使える様になってます。一番右側のスイッチを引っ張ると、なんとビブラートが掛ります。それから、ラウド・スイッチ(ちょっとだけ音が大きくなります)が1つ付いてます。残りの6つは、上鍵盤と下鍵盤で3つずつ、リードのオン・オフです。2つのユニゾン・リード+1つのハイ・リードという構成です。
 ヤマハ・オルガンの方は、切り替えスイッチも何も無いので、昔懐かしい木造校舎を思い起こさせる、シンプルな“小学校サウンド”で、こちらの方は複雑な創りになっていて、音の方も、ヤマハよりも数段深みがある、美しい“重厚なサウンド”がします。
 [写真はタッキーが撮影]


エルスナー アップライト・ピアノ

 “ELSNER”なんて聞いた事ないでしょ?私は友達のエンジニアやミュージシャン仲間にエルスナーを説明する時、「え"〜!!知らないのぉー!!?う・うっそぉ〜!!“西のベーゼンドルファー、東のエルスナー”って言われてるんだよぉ!!」と言ってやると、たいていの人は小さくなってしまい、知らなかった事に対してバツが悪そうにします。いかにもタコにも、このピアノは名器だ………なぁ〜んて実は言われてなくて、妻の実家に置いてあった物を貰い受けたのであります。
 今、FAB ROCKS REC. HOUSEにはこのエルスナーのピアノがデ〜〜ンっと置いてあります。負け惜しみで言うわけではありませんが、私はこのピアノの音が大好きなんです。実に軽い、チープな音がなんともアップライトっぽいんですよね。ヤマハやカワイなどの一流メーカーのピアノでは決して出ない、カワイた(乾いた)音がします(ダジャレを言ってる場合じゃないぞぉ)。私はミラクルシャドウの1stをレコーディングしてる時、何度かベーゼンドルファーも使いましたが(KSSのスタジオにはベーゼンドルファーの97鍵盤が置いてあったのです。もちろん録る前にはベーゼンドルファー専門の調律師が来て調律をすると言う、最高の状態を保った物です)、私などが弾くにはこれ(エルスナー)がちょうど良いのであります(決して謙ってるつもりはありませんよぉ)。
 ピアノの蓋を開けますと、“クラウス”という文字と“東洋ピアノ”ってシールが貼ってありました。多分、クラウスと言う所で製造されたのでしょう?……分かりません。日本にはこの他にもピアノのメーカーって数えきれないほどあるんですよね、実は。
 そう言えば、一度触ってみたいピアノってのがあります。あのビートルズが映画、『レット・イット・ビー』の中で使ってた、“BULTHNER”ってヤツです。どうやら「ブルッツナー」とか「ブリュートナー」って読むらしいです。
 ブルッツナーはベヒシュタインやスタインウェイ&サンズとも並び称されるほどの名器で(偶然かどうかは知りませんが、この3社の創業はいずれも1853年です)、戦後は旧東ドイツの国家公団が作ってたと聞きます。中音以上のピアノ弦は普通3本のところ、こちらは4本で、共鳴弦として1本足してあるのだそうです。
 
写真はもう暫くお待ち下さい。


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