古本ねこや・開高健「フィッシュ・オン」鮭皮装丁試作本      トップへ

口上・・・2000年5月、神田古書会館がまだ旧館でした。たまたま訪れた金曜日の市場にこの本が出ていました、最終台(その日の特選が置かれる)に並んでいましたが、以前に見たものとは少し様子が違います。というのも、1998年の七夕大市で買った「フィッシュ・オン30部鮭皮装丁本」がはっきり記憶にありましので。
 下の画像でもわかる通り、鮭皮が5枚にカットされたものが1匹に成型されています、でも、「30部本」では1枚の鮭皮で成型されており、カットの痕跡はありません。では、この本は一体何か?
 鮭皮本のことは「白いページ」にも記してありますが、その制作過程で随分苦労したとあります。そこで、あれこれ思案しました結果次の通りではないかと自分なりの結論を得ました。
 奥付が30部限定本のものでなく、市販の「フィッシュ・オン」のまま。
 本体背文字の「FISH ON」に金が塗布されていない(30部本は金色)・同じく函にも文字がありません(30部本にはある)
 さらに、この書籍には巻頭に識語がありますが30部本には相手の名前を記した署名箋があるだけです。

 以上のことから判断して、これは30部本の試作本だろうと思われます。
 試作本ではありますが、逆に言えばこの世に1冊だけの未完成本ともいえます。

5枚にカットされた鮭皮で成型されたことがわかります。
巻頭に記された開高独特の丸文字
左は布張りの函
函と本体
函の上に乗った本体
売価 **