別刷りの表紙って......


論文の別刷りに、表紙を付ける人がいる。見栄えを気にしてのことらしいが、はっきり言って邪魔なだけである。私の知り合いの米国の研究者たちは、表紙の付いた別刷りが送られてくると「表紙だけ破り取って捨ててしまう」と言っている。

別刷りの表紙には4ページ分の2枚の紙が使用されるので、私に言わせれば、それは紙資源の無駄遣いに等しいものである。また表紙の何グラムかの重さが、別刷りを海外へ送るときの郵便料金を、確実に1ランク高いものにしていることに、誰もが気付くべきである。もっとも、別刷り請求が来ない人には縁のない話だが......。

別刷りの表紙は、一般的に、版元に別刷りを注文するときに選択するオプションであるのだが、雑誌に掲載された論文とは別に版を組むので、表紙代として何万円かの費用が別途加算されることになる。思い起こせば、私の指導教官だった教授は、やたらと別刷りの表紙に固執する人であった。彼との共著論文で、いくら私が「表紙なしの別刷り」だけを注文しようとしても、彼の分だけ別に「表紙付きの別刷り」を注文する羽目になるのであった。そのくせ彼は、恩着せがましく「この論文には随分とお金がかかりましたよ」と、のたまうのであった(おいおい、余計なお金をかけているのは私じゃないだろう!?)。


Copyright 2002 Masato Hasumi, Dr. Sci. All rights reserved.
| Top Page |