ドアを入って右手の壁に「100V-50A」と「200V-30A」の「配電盤(スイッチボード)」がある。200Vの端子6個には何も繋がっていないが、100Vの端子4個からは計8本、4対の電線が出ている。そのうち1対は、すぐ側で宙ぶらりんになっている2個の「コンセント(outlets or sockets)」を経由して、近くの壁に設置された4個のコンセントへと伸びている。他の3対は、無造作に天井を突き破る形で配線されている。天井裏をみたことがないので何とも言えないが、3対の電線は天井裏を通って再び無造作に天井を突き破り、また室内へと戻って来ているようである。これらの電線には、天井まで伸びる途中で「大きな板(122.1×20.8×1.8cm)」がぶら下がり、強烈な負荷が掛かっている(1)。
想像するに、その板は元々「棚」として造られたのであろう。ところが、その棚が配線のとき邪魔になり、穴を開けて電線を通していたが、いつの間にか棚が壊れてしまい、その後は、ずっとそのままで放置されているのであろう。これを取り外すには、鋸(のこぎり)で慎重に切れ目を入れてやる以外に方法はないようである。ただ、それをやるには、どこからか鋸を調達して来る必要がある。また、場所が場所だけに切ることもままならず、切りくずの処置も大変である(壊れた棚と思しき板は、室内を天井から床にかけて通っているダクトの後側にある)。以前の住人が放置していたものだから、このまま放っておいたほうが無難なのかもしれない。
部屋の真ん中を突き破って壁ぞいに伸びている2対の電線は、それぞれ3個ずつのコンセントに接続してある。残り1対は、部屋の窓側の天井を突き破って2個のコンセントに接続し、その中の1個には冷房用のエアコンのプラグが差し込んである。配電盤から電源を取っているコンセントの数だけで14個に及ぶ。これ以外にも、部屋の壁沿いに別々に設置されている、元からのコンセントが6個ある。実に20個のコンセントが、部屋の中にあることになる。
この部屋は、いったい何のために造られたのだろう?
以前の住人である生物学科の教授も、その辺の詳細は知らないようである。理学部の建物が出来たのは、新潟大学が西大畑から五十嵐に移転して来た30年以上も前のことだから(1970年5月移転)、かなりの老朽化が進んでいる。現在いる部屋の壁は、あちこちに亀裂が走り、いつ倒壊してもおかしくないような造りである。
この部屋に入ってみて、冬の寒さに驚かされている。暖房の設定温度を20℃にしていても、部屋が一向に暖まらず、すぐに熱が逃げてしまう。実際問題として、窓際に近づいてみると、サッシを通して外の寒さが忍び寄って来る。すきま風も、ひどい。この冬は、部屋の暖房を止めてから小一時間ほど外出して戻っただけで、部屋の温度が7〜8℃にまで下がっていることが常であった。でも、これからは春の到来と共に、幾らかは過ごしやすくなるのだろう(2)。
[脚注]
(1) 私のいないところで漏電を起こしても困るので、必ず配電盤の「100V-50A」のブレーカーを落としてから帰宅することにしている。でもなあ、幾ら何でも、この部屋で50Aも使わんぞ!!
(2) この部屋に私が入った時点で、暖房の設定温度は22℃になっていた。たぶん冬は、この設定でベストなのだろう。私自身、暖房を20℃に設定してみて、この部屋の余りの寒さに何度か、設定温度を上げたい誘惑に駆られたことがある。でも、他人が見ていないところでも、自ら率先して暖房を20℃に設定しなければ、地球環境問題を声高に叫んでいる身としては、説得力に欠けてしまう。そのため、この冬は、部屋でもジャケットを脱がないで仕事をすることが多くなってしまった。