アイドリングストップ


新潟市では、路線バスが信号待ちで停車すると、或いはバス停で停車すると、必ずと言っていいほどエンジンを止める。エンジンを再スタートさせたときのエネルギーと、停車中にエンジンをかけ続けたときのエネルギーと、どちらが地球環境に対する負担が少ないのか、私には分からない(1)。でも、こうしたアイドリングのストップが「地球環境への意識レベルを高めるためのPRになっている」という点で、路線バスを運営する新潟交通は高く評価できる(2)。

夏の暑い盛りになると、エンジンをかけたまま、冷房をめいっぱい利かして停まっている自動車(くるま)が、道路沿いには目に付くようになる(3)。営業車が多いようである。が、疲れて休憩したいときは、木陰に自動車を止めて窓を全開にすれば、室内に風は入ってくるし、意外と涼しいものである。

冬の寒い中での暖房も、服をたくさん着込んで防寒対策をすれば、エネルギーを無駄に使わなくて済むことになる。私が釧路湿原で調査をしていた1995〜1997年は、春先や晩秋の頃に、周辺の駐車場や小樽〜釧路の道路沿いにある駐車場で、エンジンをかけっぱなしで暖を取っている自動車をよく見かけたものである。「私は......、」と言えば、休憩するときは必ず、自動車のエンジンを切ることにしている。

地球環境への負荷を軽減するアイドリングストップは、ドライバーの良識にかかっている(4)。

[脚注]
(1) 物事には二面性がある。例えば、環境に優しいとされるリサイクル事業ひとつをとってみても、回収した資源物を再生利用するのと、原材料を元に新しいモノを造るのと、それらに要するコストやエネルギーの面で、更に資源の埋蔵量やモノの耐久性の面で、どちらのほうが地球環境への負荷が小さいのか、様々な情報を突き合わせて自分の頭でよく考える必要がある。
(2) 「飲食店などで、割り箸を使わず、常に持ち歩いている自分の箸を使う」という行為には、個人個人の環境意識を高めるという点では評価できるものがある。しかし、割り箸の原材料は「間伐材」や「端材」であり、割り箸は、林業では使われない資源を有効利用した先人の知恵である。
(3) 道路交通法に詳しいわけではないが、自動車のエンジンを止めると「駐車」で、かけたままだと「停車」になるのだとしたら、駐車禁止の場所で自動車を停めたいときは、これがエンジンをかけ続ける理由になるのかもしれない。
(4) 最近では、走行中に信号待ちなどで停まると、自動的にエンジンが止まる「アイドリングストップ車」を生産しているメーカーがある。


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