「卒業」って何だ???


最近、気になる言葉が増えてきた。今回、取り上げるのは「卒業」という言葉である。

三省堂「新明解国語辞典」によると「卒業」とは次のような意味である。
(1) (より高い程度の課程に進んだり、ある資格を得たりするために)規定のその学科課程を終えること。俗に、そのような低い段階を過ぎてしまったことにもたとえられる。
例「もう恋愛なんかはとっくに卒業した」
(2) その予定の仕事を終えること。

最近になって、よく耳にする「卒業」は「モーニング娘。」からメンバーが抜けるときに使われるものである。いつの頃から、こういう使われ方をするようになってきたのか定かではないが、あるグループからメンバーが抜けるとき、以前は「脱退」という言葉が使われていたと思う(この言葉を使わないのは「自分の意志でやめるわけではないからだ」とも受け取れる)。もっとも「モーニング娘。」の場合、ソロで独り立ちするケースが多いから「卒業」で問題はないのかもしれない。

その一方で、先日の日曜日の夕方、たまたまTVのニュース番組をみていて驚いたのは、その回をもって某アナウンサーが担当コーナーから外れるときも、ニュースキャスターが「卒業」という言葉を使ったことである。これは「卒業」ではなく「降番」または「交代(1)」ではないのか?

最近、使われることが多い「卒業」という言葉には、相手に与える印象を和らげ、物事の本質を覆い隠す効果があると思う。人の世は、もっとドロドロしたものである。

[脚注]
(1) プロ野球で監督が「交代」するのは、成績不振による「解任」のケースがほとんどだが、先日の読売ジャイアンツ原辰徳監督の「辞任(退任)」劇は、どうも「読売グループ内の人事異動」であるらしい。


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