郵政民営化?


郵政民営化の前哨戦となる、日本郵政公社の誕生が、どういうことなのか、今ひとつぴんと来なかった。「まあ、多少は便利になるのだろう」といった程度の認識しかなかった。ところが、ここに来て不都合な点が出ている。それは、諸外国からの航空便の配達に関することである。

私への航空便は、次の宛名で届けられる(名前に「Dr.」が付くか、付かないかの違いはあるが......)

Masato Hasumi
Biological Institute
Faculty of Science
Niigata University
Niigata 950-2181, Japan

これが従来の郵便局による配達なら、そのまま何の問題もなく「確実に」私の手元に届いていた。一般に諸外国からの航空便は、最初「東京国際郵便局」に到着し、それから郵便番号によって最寄りの「配達をおこなう郵便局(新潟大学の場合は、新潟西郵便局)」に振り分けられる。それが日本郵政公社の誕生で、郵便市場に宅配便業者が参入し、航空便の国内配達をおこなうようになった。そこに、大きな落とし穴が待っていたのである。

先日、届いた米国で発行されている国際専門誌の最新号は、某宅配便業者が配達したものだが、ここがとんでもない間違いをしでかしてくれたのである。それは、前述の英文の宛名の上に、わざわざ次のような「日本語のラベル(1)」を貼り、下手すれば宛先不明で戻される事態を招くような失態であった。

-お届け先-  950-2102
新潟県新潟市五十嵐二の町8050 新潟大学 工学部
はすみ まさと 様

どこをどう間違えると、このような日本語になるのだろう? これでは届くものも届かなくなってしまう。このラベルには、赤ペンで「工学部」に×が記され、鉛筆書きの「羽角正人? 研究生. 理学部 渡辺勇一先生 気付」という文字があった。

ここからは私の推測である。「新潟大学の郵便番号(2)」は間違っていても、宅配便である。問題の航空便は、取り合えず新潟大学の工学部には届いた。しかし、工学部に該当者は見当たらず、そこの事務は赤ペンで「工学部」に×をつけて、この航空便を学内便で本部に送った。本部の担当者は、新潟大学五十嵐キャンパス所属の教職員、学部生、大学院生、研究生、聴講生に至る約12,000名の中から私の所属を割り出し、鉛筆で「羽角正人? 研究生. 理学部 渡辺勇一先生 気付」と書いて、それを同様に学内便で理学部に送った。こうして幾日遅れかで、漸く私の元へと、航空便が届けられたのではないだろうか?

次に届いた、米国で発行されている国際専門誌の最新号も、なぜか同じ宅配便業者による配達であった。どのような経路で届いたのか不明だが、これも似たようなラベルの間違いを犯していた。

-お届け先-  950-2102
新潟県新潟市五十嵐二の町8050 新潟大学 Biological Institute
はすみ まさと 様

なぜ「Faculty of Science」を「理学部」と書けないのだろう? この宛名では、配達先の「学部名(=建物の場所)」が分からず「本部を経由して理学部に遅配されている」との憶測が生まれてしまう。

郵政事業に新規参入の宅配便業者に、まだ「配達をおこなう郵便局」のようなノウハウはない(3)。げんなりすると同時に「こういった失態が続いていくのか?」と、危機感を募らせている。

そういえば、いつも前述の2誌より先に届く国際専門誌の最新号は、未だに届いていない......。

[脚注]
(1) これも私の推測だが、宅配便の場合、配達担当者が英語を読めないと困るので、あらかじめ事業所のほうで日本語のラベルを貼っておくのだと思う。でも、これが間違っていたんじゃ、話にならない。これに対し、新潟西郵便局では、英語の宛名のまま正確に振り分けて配達してくれる。
(2) 確かに「新潟市五十嵐二の町」の郵便番号は「950-2102」である。でも「新潟大学五十嵐キャンパス」は、独自の郵便番号「950-2181」を持っている。英語の宛名に正確に記述された郵便番号を無視して、なぜ間違った郵便番号を日本語のラベルに書こうとするのだろう? しかも、英語の宛名にはない「五十嵐二の町8050」を、わざわざ書き加えている。
(3) 例えば、引っ越しで宛名が変更になったとき、郵便局なら今後一年間、新住所への転送が可能である。それが、今回のように宅配便業者が配達した航空便では、このような新住所への転送を、どこがやってくれるというのだろう?


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