「これは冗談のつもりか?」と思い、旗の設置者を捜していると、数十メートル先にある工学部の建物付近に、似たような旗が大量に立て掛けられているのが見えた。そこまで歩いていく途中にも、既に同じ"Free Market"の旗が2本、設置されていた。「工学部祭」と書かれた旗の側にいた、スタッフらしき男子学生に「"Free Market"の旗は、あなたたちが置いてるの?」と尋ねると「そうですよ」と言うので「この"Free Market"は、どういう意味で使ってるの?」と聞いてみた。
案の定、変な顔をされたので「もし『要らないものをたくさん集めて安く売る』という意味で使ってるんだとしたら、フリーのスペルが間違ってるよ」と注意すると、彼が「えっ、フリーって、どう書くんですか?」と聞くから、親切に「"flea"だよ」と教えてあげた。ところが、彼は「一般的に、この"free"のほうが使われてますよね」とか、訳の分からないことを言い出す始末で、自分たちの間違いを認めようとはしなかったのである。
仕方がないんで「この"free"だと『ものをただであげる』という意味になってしまうよ。冗談で書いてるんだったらいいけど、そのままだと『新大生のくせにフリーのスペル、間違って......』って笑われるよ」と、彼に忠告するだけして、その場を離れた。
私としては、これから旗のスペルミスを直す時間もないだろうから、彼が他のスタッフに言って、問題の旗を回収することを期待したわけだが、結局のところ、"Free Market"の旗を何本かキャンパス内に設置して(数えるのも馬鹿らしいので、本数は確かめていない)、工学部祭のフリーマーケットが開催されている期間中ずっと、外部に恥をさらすことになってしまったのである(1)。
[脚注]
(1) 私が、このことを「独り言」に書くことによって、全国にも恥をさらしてしまったことになる。まあ、でも、新大生の実態ってのは、こんなもんだよなあ。