ペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ(PAP)法


ペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ(PAP)法は、当のホルモンに対するモノクローナル抗体を使用することで、ホルモン産生細胞を検出することが出来る(ゴナドトロピン産生細胞)。この検出に適切な固定液としては、ブアン・ホランド昇汞液の使用を奨励する。固定時間は、1.5日間を超えてはいけない。以下の操作は、全て室温(24℃前後)でおこなう。インキュベーションは、乾燥を避けるため、湿室の中でおこなう。

[脱パラフィン]
(1) キシレンのダウン I: 10分
(2) キシレンのダウン II: 10分
(3) 100%エチルアルコール(=エタノール)のダウン I: 10分
(4) 100%エタノールのダウン II: 10分
(5) 90%エタノールのダウン: 10分
(6) ヨードアルコールのダウン: 10分(昇汞を除去するため)
(7) 0.25%チオ硫酸ナトリウム: 1分以内(ヨードを除去するため)
(8) リン酸緩衝液(=PBS) I: 5分
(9) PBS II: 5分
(10) PBS III: 5分

[免疫細胞化学]
(1) 0.3%過酸化水素メタノール液: 30秒(内生のペルオキシダーゼ活性を阻害するための前インキュベーション)
(2) 蒸留水(=D.W.): 30秒
(3) PBS I: 5分
(4) PBS II: 5分
(5) 1%ウシ血清アルブミン-PBS: 2時間(インキュベーション)
(6) ウシガエル生殖腺刺激ホルモンβサブユニット(LHβ)に対する1/10,000濃度のモノクローナル抗体(BL4B11, Park et al., 1987): 1晩(インキュベーション)
(7) ヤギ・抗マウスγグロブリン血清(1/50濃度): 2時間(インキュベーション)
(8) マウスペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ免疫複合体(1/50濃度): 1.5時間(インキュベーション)
(9) PBS I: 5分
(10) PBS II: 5分
(11) PBS III: 5分
(12) グラハム・カルノフスキー基質液: 15分(最終反応産物の可視化)
(13) D.W.: 5分
(14) 0.2%メチルグリーン: 30分(補染)
(15) 流水洗: 20分
(16) D.W.: 30秒

Park, M. K., S. Tanaka, H. Hayashi, Y. Hanaoka, K. Wakabayashi, and K. Kurosumi. 1987. Production and characterization of a monoclonal antibody against the beta-subunit of bullfrog lutropin. General and Comparative Endocrinology 68: 82-90.

[脱水・透徹]
(1) 70%エタノールのアップ: 10分
(2) 90%エタノールのアップ: 2分
(3) 100%エタノールのアップ I: 3分
(4) 100%エタノールのアップ II: 5分
(5) クレオソート・キシレンのアップ: 5分
(6) キシレンのアップ I: 5分
(7) キシレンのアップ II: 10分
(8) 24×45〜55mmのカバーグラスで、カナダバルサムとキシレンの混合溶液6〜7滴に切片を封入

[各試薬の組成]
(1) ブアン・ホランド昇汞液(100ml): ブアン・ホランド液(90ml)を飽和昇汞液(10ml)と混合する
(2) ブアン・ホランド液: 乳鉢で細かく砕いた酢酸銅(2.5g)をD.W.(100ml)に溶かし、この液に更に少量ずつピクリン酸(4g)を溶かす。これを濾過し、ホルマリン(10ml)と氷酢酸(1ml)を加える
(3) ヨードアルコール: 70%エタノールにヨードチンキ2〜3滴を入れる
(4) ヨードチンキ: ヨウ素(6g)とヨウ化カリウム(4g)をD.W.(100ml)に溶かす
(5) リン酸緩衝液(PBS: pH7.5): 0.01Mリン酸ナトリウムと0.14M塩化ナトリウムを混合する(防腐剤として0.01%チメロサールを入れる)
(6) グラハム・カルノフスキー基質液: 0.05Mトリス・塩酸緩衝液、pH7.6(100ml)に3, 3'-diaminobenzidineの4HCl塩(45mg)を溶かし、それから過酸化水素水30%溶液(0.1ml)を加える
(7) 0.05Mトリス・塩酸緩衝液、pH7.6(100ml): トリス(605mg)をD.W.(95ml)に溶かし、それから1規定塩酸(4.2ml)を加える
(8) 1規定塩酸(4.2ml): ある程度の量のD.W.に37.2%塩酸(0.35ml)を加え、それからD.W.を4.2mlまで増やす
(9) クレオソート・キシレン(200ml): クレオソート(50ml)をキシレン(150ml)と混合する


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