渓流の周辺で捕獲した全個体は、次の通り。
ヒダサンショウウオ
(1) 渓流脇の左右の土手にある枯れ葉の下で、成体オス5匹、亜成体と思われる個体1匹
(2) 渓流の水際で、成体オス2匹、成体メス1匹(陸生型から水生型に変化する途中の形態がみられる。これは水生適応まで、サンショウウオが水中と陸上を何度も行き来する「彷徨行動(Hasumi and Iwasawa, 1992)」の証拠と考えられる)
(3) 渓流中で、成体オス3匹、成体メス3匹、亜成体と思われる個体1匹
ヤマアカガエル
(1) 同じ渓流中で、越冬幼体7匹
これらの個体は、写真を撮影し、測定を終えた後ただちに、捕獲した場所へと放された。
ヒダサンショウウオの第5趾は、トウホクサンショウウオと同様に(Hasumi and Iwasawa, 1987, 1993)、ときどき欠失するか、または痕跡的となる(佐藤, 1943)。この個体群では、ほとんど全ての個体(95%以上)が4趾性である(懸川, 未発表)。
同行した共同研究者: 懸川雅市、岸冨士夫、齊川祐子、他1名(敬称略)。
羽角正人・懸川雅市・齊川祐子. 2002. 大きな石の下に産み付けられたハクバサンショウウオの卵嚢. 爬虫両棲類学会報 2002(2): 70-72.
佐藤井岐雄. 1943. 日本産有尾類総説. 日本出版社, 大阪.