ヒメサユリ紀行
@鬼が面山(おにがつらやま)

(1465m、新潟県・福島県)


環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されているというヒメサユリ。


2020年6月24日(水)

相模原愛川IC435−(圏央・関越)−701小出IC−(間違えて奥只見へ行ってしまい戻る)−915六十里越駐車場920〜956鉄塔100〜1045マイクロ波中継局〜1200南岳〜1230鬼が面山らしきピーク〜1240次のピーク(昼食)〜1305鬼が面山らしきピーク〜1330南岳1340〜1430マイクロ波中継局〜1517六十里越駐車場

 昨年の暮れから、「今年はヒメサユリを見に行こう」と決めていた。最初は東北の朝日連峰へ行こうかと思っていたが、浅草岳の鬼が面(おにがつら)山付近にもヒメサユリが群落で咲くと知って、迷わず鬼が面山に決めた。鬼が面山だけなら日帰りも可能だ。

 幸い、新型コロナウィルスによる「都道府県をまたぐ移動自粛」が19日解除され、前回(5月)行った「アカヤシオ紀行」のような後ろめたさはない。正々堂々と出かけることが出来る。ただ、それによって高速道路の渋滞や登山口の駐車場が満車になってしまうのが心配だ。この時期は早朝から満車になってしまうそうだから・・・。

 関越道を走っていると、前橋付近で雨が降って来た。それも本降りである。「まいったなぁ・・!」とグチが出る。このまま引き返そうかと思ったが、「花を見るだけだから雨具を着て登ろう」と開き直った。

 そして、関越トンネルに差し掛かる。関越トンネルは谷川岳を貫いており、群馬県側と新潟県側では気象状況が大きく変わる。川端康成の雪国では、「トンネルを抜けると雪国だった」と書いているが、「トンネルを抜けると晴れていた」ということもあるかも知れない、と思った。それに期待しよう!!

 そして、長いトンネルを抜けると、まさに青空が広がっていた。思わず「ヤッター! バンザーイ!」と歓声を上げた。

 しかし、ここからがいけない。大チョンボをしでかすのである。
 カーナビが壊れていたので小出ICから「田子倉湖・只見」を目ざして行けばいいと思っていたが、交差点で「奥只見」の標識を見て右折してしまい、そのまま奥只見へ向かって行った。

 途中で、「違うかも知れない」と思ったが、奥只見から只見へ行けばいいだろうと思った。

 しかし、只見と奥只見は全く別の所にあって、奥只見から只見へ行く道はない。
 小出IC近くまで引き返すハメになった。約1時間のロスタイム。

(その時撮った越後駒ケ岳、まさに怪我の功名というべきか)

 六十里越の駐車場へ9時15分に着いた。駐車場は満車だったので路肩へ止めた。まずは車を止めることが出来てホッとした。

 ここは新潟県と福島県の県境で、正面には只見の標識、振り返って小出方面には新潟県の標識があった。

 登山口は小出方面に70〜80m戻った右手にあった。狭い所に車が3台置いてあり、登山ポストも登山道も車の陰で見えなかった。

 そもそも六十里越とは、Wikipediaによれば、『六十里越の名の由来は、実際の距離は六里(約24km)でありながら、険しさゆえに一里が十里にも感じられるほど余りに急峻かつ長大な山道であること、あるいは中世まで東日本においては一里は500mであったことなど、諸説ある。(略)』とある。

 いよいよ鬼が面山への登山開始!

 いきなりの急登を10分も登ると、樹木の背丈が低くなり、直射日光を浴びた。奥に鉄塔が見えた。

 今日は道を間違えて奥只見まで行ってしまい、焦りと運転疲れでヘバってしまった。この先が思いやられる。

 すぐに樹林帯に入り、涼しくて心地よい。道もなだらかで歩きやすくなった。

 駐車場から約30分で鉄塔へ着いた。左背後に見えるのは越後駒だろうか。

 ここで薄手の長袖シャツを脱ぎTシャツに着替える。もう汗だくだ。

 ここからはハルゼミの声を聞きながら、ただモクモクと修行僧のように歩いて行く。

 もう下って来る人達がいた。鬼が面山のピストンだろうが、「ヒメサユリが咲いていましたか?」などとは訊かない。もし、「まだ咲いていない」などと言われると、登る気がしなくなるから・・・。楽しみはこの目で確認するまで取っておきたい。

 鉄塔から50分も掛かってマイクロ波中継局へ着いた。ここは素通り。

 道端で写真を撮っているオバさんいた。尋ねると、「カキラン」だという。
 しかし、家に帰って調べてみると「コケイラン」だったようだ。

 下って来たご夫婦に「南岳はまだですか」と尋ねると、「まだまだですよ!」と旦那さんに笑われてしまった。

 南岳までのコースタイムはとっくに過ぎているのに、未だに南岳のピークは見えて来ない。

 道端に咲く花が多くなって来た。ここはヒメサユリだけでなく、チゴユリやユキザサなどユリ科の植物が多いようだ。

 イワカガミがやっとあった。しかも群落で咲いている。ゴゼンタチバナも多くなって来た。



(ユキザサ)

(チゴユリ)

(イワカガミ)

 急斜面を登り切って稜線へ出ると、正面にドガーンと浅草岳が見え、左手に南岳が見えた。


(南岳)

(浅草岳)

 南岳へ12時ジャスト着。やっと着いた。

 ここから2,30m下った先でオジさんが写真を撮っていた。よく見ると周りがピンク色に染まっているではないか。「ヒメサユリが咲いてるぞ〜!」と急いで下って行く。

 まさにヒメサユリロードだった。花もちょうど見頃だ。ただ花は東側の崖側に多く、しかも東を向いているので写真を撮るのに苦労する。