私の最終学歴は、「男はつらいよ」大学、哲学科卒業です
北茨城市議 福田明
私の正規の最終学歴は、県立日立工業高校機械科卒業である。しかし、機械には、ほとんど興味はなかった。なぜ工業高校に進学したかといえば、中学時代は女性をはじめて意識し始める多感な時期であり、このわずらわしさから離れたいという理由で、男だけの工業高校に進んだように思う。
しかし、この高校時代、人並みに他校の女性と恋愛もし、飯も喉に通らないような失恋も経験した。そして、当然のことながら興味の無い工業高校の勉強は殆んどしなかった。当時の先生は悠長なもので「君たちは高校を卒業すると就職する。社会に出れば、なかなか好きなことはできない。授業が面白くない者は、今のうちに他の事をしていてもよろしい」という具合である。勉強嫌いな私には、本当に居心地のいい高校であった。
そういうわけで、工業高校を卒業しても、その専門知識はほとんどゼロに等しい。今でも、「福田さんは、工業高校を出ているから機械に詳しいんでしょう」と、言われるのが一番つらい。
この高校時代、私が最も影響を受けたのは、映画「男はつらいよ」シリーズである。この映画は、私が中学二年の時に始まり、それ以来、全四十八作すべて見て、笑い涙した。
高校時代、日立の駅を降りて学校へ向かう途中、「男はつらいよ」の上映看板を見ると、足は学校ではなく、映画館に向かった。学校の授業より、よっぽどためになると、自分に言い聞かせて、授業をさぼることを正当化していたように思うが、事実、本当に自分の生き方、ものの考え方に、これほど影響を与えた映画はない。
私は今後、履歴書を書く機会があれば、最終学歴は迷うことなく、葛飾区立「男はつらいよ」大学哲学科卒業と書きたいと思う。
(2001.11.19記)