祭りをぶち壊してまで原発計画に加担する神社本庁に抗議する集会決議

 美浜原発の事故が起こってわずか十日あまりの八月二十日、神社本庁は山口県上関町四代正八幡宮の所有する原発建設(炉心)用地の売却を承認するとの決定を発表した。

 皮肉にも、この発表が行われたのは祝島において千百年の歴史を持つ『神舞』の最後の日で、『出船神事』が華麗かつ厳かに行われている最中だった。

 『神舞』は、山口県の無形文化財に指定されており、四年に一度海をこえて九州・大分県伊美別宮社から神官等を招き開催されるもので、別名『海を渡る神事』とも言われ、島に住む人たちだけでなく、都会で生活している祝島出身者の「誇り」と「心の支え」ともなっている重要な神事です。

 しかも、今回は上関町・役場職員も積極的に祭りに参加してくれたおかげで、二十数年間の原発推進町政との対立による島民の「心のわだかまり」も、解消の道に大きく前進できたと喜びで一杯の気持ちの最中であった。

 祭りに参加した全ての人たちが、気持ちを一つにして盛り上がっていた矢先の神社本庁の「神社地売却承認」の報は、穏やかで感謝の気持ちを持ちつつあった私たちの心に冷水を浴びせかけた。

 神社本庁・山口県神社庁がどのようにいいつくろうと、大切な神事の日に、その成果を台無しにするような決定を公表したことは、同じ神を祭ると標榜している人たちの恥ずべき行為として、決して許せるものではない。

 また、美浜原発の事故をきっかけとして、原発管理のずさんさが次々と明らかになってきており、あえて世論に背を向けて原発容認・推進の立場を明確に打ち出した神社本庁の犯罪性は、今後強く糾弾されなければならない。

 加えて、「金と権力に負けた」としか思えない一部の「神官」等は、もはや「清廉・潔白」とは無縁の存在であるとの評価しか下しえない。

 二十数年間に渡り続いている上関原発を巡る混乱は、反原発住民に対する「配慮のなさ」ゆえ対立が先鋭化してきた。今回のような、地元の住民感情を無視した行為に、せっかく芽生えた「融和」の流れが何度潰されてきたことだろう。しかし、私たちは決して諦めない。『神舞』を島一丸となってやりとげた私たちには、海を守り、人々の生活を守るという当たり前の姿勢を貫くことが、いかに困難であれ、大切なことであるかがよくわかってきている。

 建設前から人の心を壊し、工事・運転で自然を壊し、海を殺し、人々の生活を破壊する上関原発の建設は、人間の尊厳をかけ絶対に許すことができない。

 原発計画の一つ一つの課題に真正面から取り組んでいくことを、今あらためて熱い気持ちで決意するところである。

 以上決議する。


 平成十六年八月二十三日
上関原発を建てさせない祝島島民の会
緊急集会参加者一同



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