地震・防災関連用語集
カテゴリ:基本用語
雨・流水・風・波・雪・氷河などの作用によって地球の表面が削られることを侵食といい、それぞれ雨食・河食・風食・波食または海食・雪食・氷食といい、この作用を侵食作用といいます。なお、雨水や地下水の溶解作用による侵食は溶食といって侵食と区別されます。
絵 緑の渓流
侵食によって形成された侵食谷
身近にある侵食には流水による河食や波浪による海食などがあります。
山間部の谷のほとんどは渓流による河食であり河食による谷を侵食谷と呼びます。
波浪の作用で形成される地形には波食崖や波食台があります。海食台が地殻変動によって上昇すると平坦な磯が生じることがあります。これが波で再び侵食されると凹凸の激しい磯を経て新たな海食台として海面に没します。
侵食と堆積は対を成す作用であり、上流の山間部で侵食された土砂は主に谷の出口や河口で堆積して扇状地や三角州などの独特の地形を形成します。
河川による山地の侵食は大雨で渓流が増水したとき激しくなります。通常は清流が静かに下る渓流でも豪雨の際は激流が渓流の両岸を洗い土砂を巻き込んだ濁流となって流下します。侵食作用が激しければ運搬作用や堆積作用も激しくなって一般には扇状地や三角州が拡大します。
山地斜面の崩壊土砂が渓流に流れ込むことなどによって発生する土石流は谷底に堆積している土砂を巻き込み両岸を侵食しながら急速度で流下するため、急激な侵食・運搬・堆積作用を伴います。
侵食と浸食 どちらが正しい?
結論からいうとどちらも正しく、使い分けはされていません。
侵は侵害、侵犯、侵入などに用いられ、おかす、そこなうという意味合いであるのに対して、浸は浸出、浸入、浸透、浸水など水や液体がにじむ意味合です。意味合いから考えると、浸食よりも侵食のほうが広い意味合になり、風食や氷食をなどを含めると侵食の方が妥当と思われます。また、学校教育でも侵食が用いられているので、侵食が正しいようにも思えますが、辞典や専門書などにも浸食が用いられていることがあります。特に、最新の地学辞典(平凡社1996)が浸透を採用していることから、混沌としています。日本では砂漠や規模の大きな氷河がないので、水が関与する侵食がほとんどを占めることから、侵食=浸食であるともいえそうです。