地震・防災関連用語集
カテゴリ:地質年代と地層
関東ローム層と段丘との関係
(関東ローム層 関東ローム研究グループ 1965 より)
関東ローム層は関東地方に分布する火山灰起源の地層群の総称であり、第四紀更新世の火山活動に由来します。
群馬県新田郡笠懸村岩宿(現みどり市)の岩宿遺跡は旧石器時代の遺跡であり、石器は関東ローム層の中から発見されました。日本でも縄文時代以前にも人が生活していたことが確かめられましたが、当時の人口は希薄であったと想像されています。
南関東での関東ローム層は富士箱根火山に噴出起源をもつ火山灰が偏西風にのって堆積、風化、粘土化した赤土です。火山活動の時期の相違から、新しい順に立川ローム層、武蔵野ローム層、下末吉ローム層、多摩ローム層の4層に区分され、ローム層と段丘との関係は右の図のようになっています。段丘は氷河性海面変動と地殻変動が重なることによって侵食と堆積作用が繰り返され、その結果として生じた地形であり、形成時代に応じたローム層に被われています。
関東ローム層は特異な団粒構造で、間隙が大きいという特徴があります。団粒間の大きい間隙と団粒内の微細間隙からなっており、間隙内に貯えられる水分は非常に多いものの自由に流動しうる水分はその一部で、他は非自由水として拘束されています。したがって、関東ローム層は非常に大きな間隙を持ちながら、保水性が良いと同時に透水性も大きいという特徴を持っています。また、冬期に乾燥状態が続くと、地面の砂が強風に煽られて土ぼこりとなります。風乾されたロームが土ぼこりになりやすいのは、土粒子が細粒である他に乾燥密度が小さい(細かくて軽い)ことが主な原因です。
関東ローム層は見かけ以上に支持力を持っており宅地の地盤としては良好ですが、掘削などによってひとたび団粒構造が破壊されると軟質で厄介な土に変わります。