地震・防災関連用語集

カテゴリ:地質年代と地層

第四紀

気候変動

過去5百万年間の酸素同位体比が示す気候変動
(青い文字と矢印を加筆)

図・説明文とも増田富士夫 環境理学 第3章 長い時間から見た現在の気候環境の成立 古今書院

A:アフリカ西岸沖の大西洋のコアの底生有孔虫化石の分析値。3百万年前(a)に急激な寒冷化が認められる。これ以後、寒冷期の出現で寒暖の大きな気候となる。Tiedemann et al.,(1994)。B:過去70万年間の変動。世界各地の同位体変動をまとめたもの。10万年周期の氷期・間氷期の気候変動が顕著になる。Imbrie at al.(1982)


出版社古今書院http://www.kokon.co.jp/

第四紀は現在を含む最も新しい地質年代ですが、この第四紀が2009年の国際層序委員会において新しい第四紀の年代区分が採択され、日本でもこの採択に従った新しい定義を採用することになりました。地質年代は生物の絶滅によって区分されたものですが、新第三紀と第四紀の境界には生物的・地史的な大きな変化が認められていません。このため、曖昧な第四紀を廃止する流れもあった中で、人類の時代・人の時代・未来に繋がる時代として、258万年前から始まる第四紀が新たに定義され、第四紀は11,700年前を境に更新世と完新世に分けられました。(第四紀などの用語は以前より用いられてきましたが、これらは国際的に統一されて再定義された新しい用語という位置付けになります。)

新第三紀と第四紀の境界(2.58Ma*1) 付近での出来事

  • 地磁気層序における松山逆磁極期とガウス正磁極期の境界に対応します。
  • 地球規模の寒冷化の徴候は3Ma以前から存在し、約2.7Ma以降全世界で顕著になりました。
  • 2.5Ma以降、氷期・間氷期の繰り返しが恒常的になりました。

第四紀の特徴と意義

  • 氷期・間氷期の繰り返しを経て、人類は猿人、原人、旧人、新人と進化しました。私たちの生きている今の時代を含んでいます。
  • 地殻変動が概ね一様の速度で進行し、現在に連続しています。
  • 気候変動・環境変動に関わる膨大な情報が残されており、人類の未来を合理的に予測する重要な鍵になるとされています。(第四紀を知ることにより未来を予測する)

*1 MaはMega ageの略で、1Maは百万年を表します。