地震・防災関連用語集
カテゴリ:地震
地震とは自然現象としての地震を総称として用いられるほかに、地震によって引き起こされた震災や地震による揺れなどのうちいずれかあるいは両者を意味することがありますが、その中で地震による揺れを地震動といいます。
地震動は震源から放出された地震波がある地点に到達することによって生じる地盤の揺れであり、その大きさは一般には気象庁の定めた震度で表します。震度は震度0から震度7までの階級に分けられており、これを震度階級と呼びます。震度は従来気象庁が地震の体感や被害状況あるいは地変の程度によって決定していましたが、平成7年の兵庫県南部地震を契機として震度階の区分とその決定方法が改正されました。
現在の震度階級は震度0から震度7までの数値で5と6には弱と強に細分されて10階級となり、その階級は地震計で計測した値から求めるようになっています。なお、地震計が捉えた震度は計測値であることから、この震度を計測震度と呼びます。
本来、地震動は震源領域の破壊の進行状況、地震波の種類、伝播経路の違い、屈折と反射現象、到達地点近傍の地盤状況などによって極めて複雑であり、地震動の正確な表現はひとつの数値ではなく地盤の振動(震動)波形として表現することになります。なお、振動は左右上下斜めと3次元の空間を振動するので一般には水平方向で互いに直交する方向に2成分=2台、垂直方向に1成分=1台の計3台が組み込まれた地震計を用います。
振動波形にしても変位、速度、加速度などそれぞれの分野の使用目的によって都合のよいものが用いられており、振動波形の特性を把握するためには波形処理や分析などを経ることになるなど容易ではありません。通常の生活では正確で複雑な表現よりも正確性はやや落ちても簡単で使いよさに優れている方が好都合であり、震度は地震動の大きさの目安として使用されています。
交通振動や工場の振動などの環境振動を考えると、人に感じ難いほどのゆっくりとした振動あるいは反対に1秒間に数10回を越えるような振動の場合はそれが物理量として大きな振動であっても人間にとってはないに等しいあるいは極めて小さい振動としか感じられないことから、交通振動などには計測された加速度に人の感覚と等しくなるように感覚補正がなされています。計測震度も同じような立場で加速度を基に人間の感覚と被害状況との整合性が加味されています。震度は地震計で計測されていてもこのようなさじ加減によって物理量ではなくなっているので物理量としての単位はありません。
震動を表す物理量には変位、速度、加速度があります。なお、速度といえば波動の伝播速度を表すことが多いので、揺れの速度を示す言葉としては地動速度という用語が使われています。
変位は何ミリ動いたかであり、感覚的に最もわかりやすい単位で表されます。初期の地震計はテコの原理を利用しており、変位に比例した波形が描かれていました。速度は1秒間に何ミリあるいは何センチ動いたかであり、これもよくわかります。速度は構造物の被害との関係が大きく、また、コイル型の地震計は速度に比例した信号を出すことからよく使われます。
一方、加速度は感覚的によくわからない量であって重力の加速度といっても実感しにくいのが普通です。力=質量×加速度(運動の第二法則)を引き合いに出すと、加速度は力に比例していることから、地震計が示す加速度の大きさは力の大きさを表していると考えればわかりやすくなります。
地震動の変位、速度、加速度波形は表現方法が異なるだけで同一の地震動を表しており、相互に数学(デジタル)的に変換をすることができます。また、電気回路で電気(アナログ)的に変換することも行われています。