地震・防災関連用語集
カテゴリ:地震
被害想定は、それぞれの地域で発生の可能性のある地震を想定して、地震が起こった場合にどの程度の被害が発生するかを推定するものであり、物的被害、人的被害、経済被害などに区分して被害の規模や被害の特徴を把握し、地震による被害の全貌を捉えることによって事前の防災対策や防災組織の行動決定などの基礎資料とします。被害想定の実施はその目的や範囲に応じて、国(中央防災会議)・都道府県・政令指定都市を中心に実施されています。
被害想定の対象となる地震には、歴史的に繰り返して発生している海溝型の地震(東海地震など)や実在する活断層(上町断層帯など)による地震のほかに、活断層が認められなくても大都市の直下で発生するとした地震(横浜市直下地震など)があります。
人の活動や火災の原因となる火気器具の使用状況は季節や時間によって異なり、火災の延焼の状況は風速によって異なることから、地震の発生季節や時刻および風速などが変わることによって被害の様相も異なることになります。このため、被害想定は「冬の朝5時、風速15m」ように季節・時刻・風速などの条件をいくつか変えて実施します。被害想定の基礎データとしては建物棟数、人口および屋内滞留人口などがあり、固定資産台帳、国勢調査結果などをはじめとした各種の資料が用いられます。
被害想定には揺れの大きさと全壊率の関係や全壊と出火率の関係などのように、過去の地震による被害を参考にして推定する手法が用いられます。参考とする過去の地震としては、関東大地震、新潟地震、十勝沖地震、宮城県沖地震、兵庫県南部地震など、大きな被害あるいは特徴的な被害を伴った地震が用いられています。