地震・防災関連用語集

カテゴリ:地震

首都直下地震

首都地域(東京都、神奈川県、埼玉県および千葉県並びにその周辺地域)は住宅、工場、交通機関などありとあらゆるものが集積・密集している地域であり、ひとたび大地震が発生すると大きな被害が予想されます。ある程度切迫性が高いと考えられる地震、近い将来発生の可能性が否定できない地震に対して、どのような防災対策や減災対策が有効でしょうか。このような防災上の観点から、国の機関である中央防災会議の首都直下地震対策専門調査会によって、対象となる地震が洗い出されました。これらの地震を総称して首都直下地震と呼びます。首都圏直下の地震として選定された18タイプの地震のうち、東京都心で最も被害が大きくなると想定されるのは「東京湾北部地震」(マグニチュード7.3)であり、東京湾北部地震は首都直下地震対策を検討していく上での中心となる地震とされています。

2012年4月18日に発表された東京都の被害想定によれば、東京湾北部地震による死者約9千7百人・負傷者約14万6千人(冬の夕方18時で風速8m)とされています。

中央防災会議が選定した首都直下地震にはプレート境界型地震(海溝型地震)や活断層による地震(直下型地震)、その他の地震があり、これらの地震をタイプごとに見てみると次のようになります。

プレート境界型地震
首都地域全体を被うようにフィリピン海プレート上面付近を19枚の断層面に分け、マグニチュード7以上の大きな地震の起こる可能性が小さい断層面や近い将来に地震が発生する可能性が小さい断層面(大正12年に発生した関東大震災の断層面)および活断層による地震の方が地震動が大きくなると予想される領域の断層面を除くと7つの断層面が残ります。これらの断層面で発生する地震のうち、都心部では「東京湾北部の2断層面の領域」で発生する東京湾北部地震、都心部周辺では茨木県南部の地震、多摩地域の地震の3タイプ。
活断層による地震
都心部は選定がなく、都心部周辺では関東平野北西縁断層帯、立川断層帯、伊勢原断層帯、神縄・国府津-松田断層帯、三浦半島断層群の活断層による地震の5タイプ。
その他の地震
活断層を除いた地殻内の浅い地震(マグニチュード6.9以下)はどこで発生するか分からないため、地震による影響が大きいと考えられる箇所の直下で起こる場合として、都心部では都心東部直下と都心西部直下の2タイプ。都心部周辺ではさいたま市直下・千葉市直下・川崎市直下・横浜市直下・立川市直下・羽田空港直下・市原市直下(京葉工業地帯)・成田空港直下の8タイプ。

参考資料
中央防災会議「首都圏直下地震対策専門調査会」(第12回) 地震ワーキンググループ報告書 平成16年11月 地震ワーキンググループ
首都圏直下地震対策大綱 平成17年9月(平成22年1月修正) 中央防災会議
首都直下地震等による東京の被害想定報告書 東京都防災会議 2012年4月