地震・防災関連用語集
カテゴリ:地震
昭和2年当時と2004年現在の郷村断層の状況
写真上段 『奥丹後震災誌』より
大地震に伴い地表に断層が出現したことが史料上で確認される断層を地震断層と呼びます。日本列島は東西方向に圧縮を受けており、この圧縮による力が地下の岩盤に加わることによって徐々に歪が蓄積されていきます。歪の蓄積によって岩盤が耐えられなくなると大規模な破壊が起こり地震が発生します。大地震が起こると地下の破断面が地表に出現することがあり、地震によって地表に出現した断層を”地震断層”と呼び、これと区別して地下深部の震源域に想定した断層を”震源断層”といいます。震源断層の延長が地表に現れた断層が地震断層に相当します。
地震断層は活断層が再活動したものであり、活断層のなかで史料に記録されているものだけが地震断層と呼ばれます。地質学的な断層、活断層、地震断層の概念の大きさを記号で表すと、地質学的な断層>活断層>地震断層となります。
地震断層としては濃尾地震(1891)の根尾谷断層、北丹後地震(1927)の郷村断層、北伊豆地震(1930)の丹那断層、鳥取地震(1943)の鹿野断層、兵庫県南部地震(1995)の野島断層などが有名です。
右の写真は北丹後地震(マグニチュード7.3)で出現した郷村断層です。上段の写真は道路がずれている状況を示す写真であり、手前から見て断層の向こう側が左側にずれています(左横ずれ断層)。郷村断層は史蹟名勝天然記念物保存法に基づき昭和4年に天然記念物に指定されました。下段の写真には天然記念物であることを示す石柱と案内板が写っています。
郷村断層は北丹後地震で出現したために活断層が存在していたことが分かりましたが、地震が発生していなければ活断層が存在していると予想することは困難であったとする意見があります。