地震・防災関連用語集
カテゴリ:災害
水で飽和した粘土やシルトが水を失って体積を減少させる現象を圧密といい、圧密によって地盤が沈下する現象を圧密沈下といいます。粘土やシルト層は砂や礫層と較べて間隙がずっと多いという特徴が圧密沈下という現象を引き起こしています。
第四紀沖積層の堆積物は最も新しい地質時代に堆積した堆積物であり、粘土やシルトは多量の水分を保持しており圧密の進行していない軟弱地盤が形成されています。軟弱地盤として取り扱われる地盤は、後背湿地、三角州(海岸平野)、小おぼれ谷、潟湖や湿原跡など、海岸や大河川沿いに広く分布しています。一方、沖積層より一つ古い時代の第四紀の洪積層は台地や丘陵地などを形成していますが、海水準の低下、地盤の上昇、新しい堆積物による被覆などによって長い時間の間に圧密が進行して、堆積当時は軟弱であった粘土やシルトは硬くなっています。粘土層が泥岩層、即ち岩と呼んでも不自然でない程度に硬くなることも珍しいことではありません。
粘土やシルトなどの細粒堆積物が堆積すると、圧密は堆積物自体の荷重と飽和した水の圧力がバランスするまで徐々に進行して停止します。新たに、荷重がかかるか、地下水位の低下により水圧が減少するとバランスが崩れて圧密が再開されます。軟弱地盤上に盛土や建物などを施工したり地下水を汲み上げると、しばしば地盤沈下あるいは不同沈下の問題を引き起こしています。 地盤沈下が著しい場所は本来低地です。東京都江東区では累積沈下量が最大4m以上にも達しており、低地が沈下することによって洪水の危険が増大します。
軟弱地盤の改良工法としては、サンドドレーン工法、ペーパードレーン工法、ケミコパイル工法などがあります。これらの工法は、土中の水を排除して圧密現象を積極的に進行させることによって、地盤の支持力を増大させようとするものです。