地震・防災関連用語集

カテゴリ:試験・測定・観測

乱さない試料(不撹乱試料)

土質の力学的な性質を室内で試験するためには、地盤内での状態をそのまま維持した試料が必要になりますが、この試料を乱さない試料あるいは不攪乱試料といいます。

粘性土を対象としたサンプラーにはシンウォールサンプラーが用いられます。シンウォールサンプラーは薄い金属の円筒を地盤に押し込み円筒の中に入ってくる土質試料を採取する装置です。

砂や砂礫の乱さない試料の採取はシンウォールサンプラーなどでは困難でああるため、設計に必要な砂などの性質を示す物理量はN値から間接的に推定ことがもっぱら行われていました。しかし、1964年の新潟地震以後、地震による液状化の研究のために砂の乱さない試料の採取が必要になり砂地盤からの乱さない試料を採取することが行われるようになりました。

砂地盤からの試料の採取には3重管式サンプラー(トリプルサンプラー)が用いられます。乱さない砂の試料は運搬時の衝撃で壊れやすいことから試料を凍結させて運搬します。

また、砂地盤そのものを凍結させ、凍結したままで採取するという「原位置凍結サンプリング法」が考案されています。この方法では、地盤を凍結させることにより、サンプリング、整形、試験室への輸送、試験機へのセットまで凍結状態のままで行うことができるという信頼性の高い方法です。

最近では、重要構造物の耐震性を検討するための基礎資料として、乱さない砂試料の採取が広く用いられるようになっています。