地震・防災関連用語集

カテゴリ:試験・測定・観測

高感度地震計観測網(Hi-net)

1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)が契機となり、地震に関する調査推進のための体制整備などを目的として「地震調査研究推進本部」が設置され、総合的な調査観測計画の策定と実施の具体策として、新たに高感度地震観測網が整備されました。

高感度地震観測網は強震観測網とともに防災科学技術研究所によって構築された観測網で、観測点の配置は約20kmメッシュを基本に既設観測点を含めて全国で約1000点とすることを基本方針として展開されました。新設の観測点は100m以上の深さのボーリング孔が掘削されて静かな環境の孔底に地震計などが設置されています。既設・新設の地震観測網を一元化してリアルタイムでデータを処理する体制が取られるようになり、震源決定に用いられる観測点は1000点を越え、マグニチュード1.5*以上の地震ならば日本列島のどこで起きても確実に捉えることができるとされており、年間の震源決定数は13万個以上となっています。

高感度地震観測網の整備によって、深部低周波微動スロー地震のような新しい現象が発見され、地震・地殻変動の新しい概念が生まれています。

*マグニチュード1.5の地震とは松田の式(マグニチュードとエネルギーの関係式)を用い、TNT爆薬に換算すると2~3kg程度となる。松田の式にこのような小さい地震にまで当てはめることは正しいとは限らないが、かなり小さな地震まで観測対象になっていることが分かる。