其の五


1992年に撮影されたもの。この写真は、投函されてから私の手もとに届くまで、なぜか1年を要した。心霊写真の投稿の場合、数が少なく貴重であり、編集部もマメにチェックしているため、そのようなことはありえないのだが・・・。
 写真左手の針葉樹をバックに、四角く縁どられたお坊さんの写真が逆さまに浮いている。眉を怒らせたこの不気味な僧侶を、撮った人は見覚えのない顔だという。また、写真全体に緑色のもやがかかっている。経験上、グリーンは強い怨念、あるいは殺意を暗示しているケースが多い。
 ちなみに、写真に添えられた手紙には、「この撮影後、中央に写った愛犬は死に、3日後、祖父が亡くなり、さらに1週間後、父親の会社が倒産しました。この写真を撮った私はどうすればいいのでしょうか?」とあった。