LABR-009
コンプリート・エレキテル / ガ・ラスカラス
アーリー90s西千葉発無分別ダストボックスミュージック
定価 1000yen

[SONG LIST]
警告!
樹齢五万年
没落貴族
狢物ノ怪
レジェの円盤
夢遊病熱愛
建設時代
吸血舞踏
可不可的病
鉄腕原子
南国夜話
毛茶妖怪
昆虫天国
<解説>
「ガ・ラスカラス」は現スカイフィッシャーの中山貴史(syn)と伊川泰司(g)が千葉大学に入学した90年に結成されたユニットであり、本作はその初期に制作されたファーストカセット「電動大道芸人」およびセカンド「エレキテル」の中から抜粋しデジタルリマスタリングを施したものだ。
ガ・ラスカラスの音楽は2人により作られたプログラミングをバックに演奏するスタイルで結成され、あくまでも「ライブ」を前提に作られた楽曲がほとんどであり、当時は「打ち込みバンドがライブを行うための演奏・パフォーマンスはどんなものか」という回答として奇抜なパフォーマンスやフリーインプロ、ノイズといった手法を積極的に取り入れようとしていた。しかし、当時のガ・ラスカラスにとってノイズやインダストリアルといった音楽とはほとんど無縁の音楽を好んで聴いており結果的に手本のないままの模索の楽曲が次々出来ていった。これが「ガ・ラスカラスはオリジナリティの塊」となった由縁ともいえる。
そのガ・ラスカラスがテープに作品を残そうとした時はライブでの手法をそのままやるということを考えなかった。そして録音はオーバーダビングが多用され、中でも外で騒ぐ学生の声をリアルタイムで加工したり、スタジオ(というか部室)にあったあらゆる音の出る素材をサンプラーなどを一切使わず取り込んだりした。なおかつ今聴いても評価すべき点は実験色は強くなるも、アンサンブルは失われていないという点だ。
また全体的に漂うのは「アーリー90sの千葉市」の背景である。分別処理されることなく街角に設置されたダストボックス、夜中も赤く光る製鉄所、建設中のモノレール、こういった退廃的かつサイバーな光景、これが人工海岸からの潮風と融合され、移住民であった2人が感じ取って作った音楽。これが「ガ・ラスカラス」の音楽ではなかっただろうか?
この2本のカセットを作成した後は、東京方面でのライブが増え、動員も増えるに従いそのプログラミングも速度を増し、より複雑かつスピード感のある曲が主流を占め、結成当時とはまた違う面白みが出てくる。しかし本作のフロンティア的ダイナミズムは再度世に出すべき価値は十分にある傑作だと思っている。
ガ・ラスカラス Web

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