No.25 コロナとの戦い11 ゲリラ戦

 5月11日です。日本では新規患者数が減少傾向ですが、世界ではコロナの感染者数が400万人になったとのこと。12日ごとに100万人単位で増えているというのは想像を超えています。アメリカでの死者がベトナム戦争の死者を超えたというのは数字だけの話ですが事態は深刻なままです。特に米国で最近小児に川崎病のような症状が多数見られるようになったというのは注意を要します。かつて整形外科でも欧米では手術した後に肺の血管が詰まって亡くなることがあるらしいと聞いて、そんなこともあるのか日本とは違うなと感じたことがありましたが、その後生活様式が西欧化したのか日本でも同様の患者が増えてきて注意が必要なようになりました。そう外国で起きたことは日本でも起きるものなのです。

 その点で韓国はコロナをうまく抑え込んで経済活動も再開されつつあり日本も見習うべきかと思っていたところ、ソウルのナイトクラブで集団感染が発生しました。ソウル市長が「世界でも認められた韓国の方式であったのに一部の不心得者のせいでだいなしだ。」と怒っていました。その気持ちはわかりますがコロナとの戦いはゲリラ戦です。

 正規軍どうしが戦う普通の戦争ではジュネーブ条約によって戦闘員はそれとわかる服装をしていなければなりません。一般人の服装で戦いに参加するのはルール違反です。このルールを守る前提で降伏した捕虜は保護されます。一方戦闘員であることがわからない形で戦うのがゲリラです。これはとても戦いにくい。区別がつかないので一般人の被害も大きくなります。コロナについていえば、無症状の人もいれば軽い風邪の症状の人もいて、かかっているのかどうか本人もわかりません。検査すればわかりますが、毎日検査するわけにもいきません。潜伏期が長く無症状で感染を繰り返すと当分コロナはなくなりません。韓国ではスマホや監視カメラを使って接触者をすべて見つけて隔離するやり方で感染拡大を阻止していますので被害は極限できるかもしれません。しかし日本ではその手段がとれないので当分の間経済活動の本格的な再開は無理でしょう。再開されても以前のように酔っぱらって肩抱き合って大声で叫ぶ風景はもう見られないでしょう。ゲリラ戦であるコロナとの戦いでは一瞬の油断も命取りです。若い時ドイツに学会で行ったことがありますが、電車の中で誰一人話すことなく無表情で黙って座っているのを見て「さすがドイツ人は気難しいみたいだな。」と思ったものですが、日本でも同じようなことになるのでしょうか。明けない夜はありませんが、朝になったら季節が変わっているかもしれませんね。


2020年05月11日