No.9 甘い物をやめたら痛みがなくなる

 整形外科の外来には痛みがあるために来られる患者さんがほとんどです。私の考えでは痛みには熱い痛みと冷たい痛みの2種類があります。傷が化膿したりぶつけて腫れたなどというのは熱い痛みで炎症を起こして痛むのでこれはロキソニンなどの消炎鎮痛剤が効きます。一方冷たい痛みは熱をもっていないので炎症を抑えるロキソニンなどは理屈からいって効きにくい。その場合は温めると楽になることが多いので足湯などで外から温めることをお勧めしていますが、冷たい痛みはとても治りにくいものです。それは痛みがある身体の内側が冷えていることが原因です。冷たいビールやコーラなど飲めば当然冷えるので冷たい痛みがあるときは温かいものを飲みましょう。

 しかし外来でたくさんの患者さんを拝見して、現在身体を内側から冷やす最大の原因は実は甘いものです。

 世界保健機関も砂糖の取りすぎに警鐘を鳴らしているように、現代人は砂糖を取りすぎています。多すぎる砂糖は身体を冷やします。その説明は長くて複雑なので次回としますが、論より証拠でなかなか痛みの取れない人に一度甘いものをやめてみましょうと勧めて真面目に甘味を控えたら痛みがすっかりよくなりましたと感謝される患者さんはたくさんいます。その後また痛くなったので「甘いものやめてますよね」と聞いたら「バクバク食べています」との回答で少しがっかりしながら「まずまた甘いものを止めることから始めましょうよ」という患者さんも少しいます。甘いお菓子はもちろんいけませんが果物も品種改良によって甘くなりすぎていますので控えるべきです。

 私自身の経験で恐縮ですが、以前はカリントウが好きで一袋ペロリと食べていましたが、患者さんに甘いものを止めろと言って自分が食べているのは言葉に力も出ないし良心も少しとがめるのできっぱりと止めてみました。しばらくすると少しでも甘いお菓子を食べると胃のあたりが冷えて重い感じがして気持ちが悪くなりました。ああこれまで本当に身体に悪いことをしていたのだなぁ。料理に使うくらいの量なら砂糖もよいでしょう。しかし甘いものを食べ過ぎると糖尿病になる以前から身体を傷めます。自分のことはともかく甘いものをやめたら痛みがなくなることが多い、これは本当です。
2019年09月19日