山間にある小さな駅といった佇まいの青井岳は日豊本線の山越えの難所の中にある駅だ。両隣の駅間距離は10キロ近くもあり、その間には信号場も設けられている。青井岳の駅の標高が266.1メートルに対して隣駅である田野は123.7メートル、山之口は158.2メートルであるから、いかに長い勾配を上り続けてきたかが想像できる。
九州特有ともいえるガラス張りの簡易待合室の駅舎と島式ホーム。車内から見れば民家が見当たらない秘境ムードが漂う駅だが、駅前の階段を降りると人が住んでいそうな民家が2軒ほど存在する。
そんな青井岳にはちょっとした立ち寄りの観光スポットがある。駅から国道に出て左折して道なりに行くと境川沿いに青井岳温泉がある。時間的には駅から徒歩10分と言ったところだ。
ぬめりのあるお湯は評判が良いようで、宮崎との駅間距離が30キロ弱と考えると車を使えば気軽に行け、入浴料も大人で420円という価格から訪れる人が多い。青井岳の駅周辺においては最も賑わっている場所である。
青井岳では約1時間半ほどの滞在時間で駅の撮影と温泉の入浴の両立を試みた。今ではスマホの位置機能を使って自分の居場所と目的地の場所が特定できるようになっているが、10分と言えども歩く時間にエネルギーを費やしたような気分になり、温泉では時計を気にしながらの入浴で、思ったほど余裕がないように感じた。温泉から青井岳の駅に戻ってきた時に発車時刻を確認してみたら、すぐに電車がやって来るということなので足早にホームに向かい、それに乗って青井岳の駅を後にした。
(2020.11.22)