カラスガイの多いところという意味の「ピパウシ」が語源となった美馬牛は丘の町として国内はおろか海外からも観光客がやって来る美瑛の郊外といった場所に駅がある。
駅舎内の待合室には日本語の他に英語、中国語、韓国語の観光パンフレットが置かれ、駅前には観光案内板も設置。近くには宿泊施設もあり丘の町、美瑛の恩恵を受けている印象を受ける。しかし美瑛の一番の観光シーズンが夏ということもあり、冬の朝はいささか静かであり、場所によっては除雪にいそしむ人も見受けられた。
この美馬牛は2020年夏の青春18きっぷのポスターに登場した駅で、富良野線の線路が森に吸い込まれていく姿が特徴的な写真であったが、前日に降った雪のお陰で冬場もなかなか幻想的で美しい風景となっている。
ホームは上下線がずれた千鳥式という構造になっている。旭川発の列車のおよそ3分の1が美瑛止まりで本数は減ってしまうが、この美馬牛では列車の行き違いが何本か行われるため、富良野線で重要な役割を持っている駅でもある。
まるで一部を切り取られてしまったかのような佇まいの小さな美馬牛の駅舎ではあるが、無人駅ながらもストーブが点火していて、温まって列車を待つことができる。ストーブの温もりを感じてしまったら最後、列車が来るまでの間はストーブから離れられなくなったのは言うまでもない。
(2021.12.14)