板張りのホームが上下線に大きくずれ、砂利道の林道からは民家が1軒も見当たらない古瀬は通学の便をはかって客扱いをする信号場から、そのまま旅客駅として昇格した駅である。民家が見えないので秘境度が高く、牛山隆信氏の「秘境駅へ行こう!」でも上位にランキングされている。
古瀬の象徴的となっている詰所は、かつてはコンクリート剝き出しの古めかしさ丸出しの感じだったが、外壁をリフォームしたため、きれいな建物に様変わりしている。
駅構内に待合室など、ゆっくりと過ごせる場所はないが、詰所のそばにひっそりと置かれているプラスチック製のボックスを開けてみると、ジップロックで厳重に封をされた駅ノートが入っている。待合室がない為に雨水が入らないように慎重に管理されている駅ノートをのぞいてみると、古瀬を訪問した多くの旅人の熱い思いが伝わって来る書き込みが多々つづられている。
古瀬に停車する列車は1日上下線合わせて7本と少ないが、昼過ぎから夕方の下校の時間帯に等間隔で停車するお陰で、訪問は比較的容易である。ただしホームが大きくずれているために、どちら側のホームに停車するかはきちんと確認する必要がある。
かく言う私も古瀬の訪問時は北海道旅行の最終日で、釧路行きの列車の乗り場を間違えて1本乗り遅れたら、帰りの飛行機の時間に間に合わなくなる恐れがあった為、乗車ホームは幾度となく確認を行った。周囲に民家がない秘境駅に単行のディーゼルカーが定刻通りに近づいて来たときには、これで無事に帰れると、ほっと胸を撫で下ろした。
(2018.3.6)