飯山線内でひときわ異彩を放つ漢字一文字に加え、「はちす」と読む難読駅、蓮(正式な字はしんにょうに点が二つ)。「はす」ではなく「はちす」なのは、ハスの実ができるとき、実がつく花托が蜂の巣に似ていることに由来する俗称から来ている。
やや長めの片面ホームの無人駅となっているが、駅の真ん前に永國寺(ようこくじ)とお墓があって、飯山寄りにある警報機も遮断機もない第4種踏切が参道となっていることもあって、蓮の駅が寺と一体化されている印象を受ける。
永國寺側から駅を眺めてみると、その背後には別名「高井富士」と呼ばれる高杜山がそびえ立ち、ごく普通の片面ホームの無人駅が、山を借景にした絶景の駅へと変貌させる。これは駅旅写真家の越信行氏が使っていたテクニックをちょっとばかり参考にしたものである。
蓮の駅より低い場所を走る飯山街道沿いは飯山線の景色のお供ともいえる千曲川の土壌が生んだ田園地帯が広がり、そこから見える高杜山もまた美しかった。
(2023.3.13)