駅の廃止ラッシュが続く宗谷本線の中で、小さな駅ながらもそんな話に引っかからなかったのが名寄の手前にある東風連である。
旭川6:03発の宗谷本線の列車は剣淵、士別、名寄の各市や町の生徒にとっては重要な通学の足となっており、東風連は名寄高校の最寄り駅となっていることもあって、実際に生徒が降りて学校まで歩いて行く姿を目にした。
比較的新しめのホームとプレハブの待合室は、元々下り列車から向かって右側にあったホームを1999年に利便性を考慮して左側に移設したものである。
2019年に名寄市がJR北海道に東風連の駅の移転を要請し、駅の建設費を市が負担することによって、現在地より名寄方面に1.5キロ離れた所に移し、駅名も「名寄高校」と名前を変えて、2022年に使用を開始する予定になっている。建前は移転となっているが、実質は東風連の廃止で、移転先の名寄高校は請願駅としての開業の意味合いが強いように思える。
現在の東風連は快速「なよろ」と一部の普通列車が通過してしまうが、駅の移設によって全ての快速と普通列車が停車するようになり、高校生の利用者増を見込んだダイヤになるようだ。
私が訪問した時、宗谷本線沿線は強い風雪に見舞われた日で、朝の登校時は高校生が下車して学校に向かう姿が見られたが、午後の日没前に東風連に下車した時には誰も来ていなかったようで、新雪が20センチくらい積もっていた。
歩いた時には雪がくるぶしの辺りまで積もっていて歩きづらかったので、待合室にあるスコップを借りて、ホームから車道と待合室までは適当に除雪をし、冬至前の12月ということもあり、16時には空が暗くなってしまうので、東風連の滞在時間の大半は待合室の中で過ごす羽目になった。
時間がすすむにつれて風と雪は強くなり当然暖房もないので寒い待合室で待っている中、旭川へ行く路線バスが1本通過して行く。1日4往復の普通列車しか停車しない東風連はバスという選択肢もあるというのを感じた。
宗谷本線の旭川~名寄間は高速で列車を走らせることができるくらい、線路の規格が高いので夕方の旭川行きの普通列車は定刻通りに到着した。しかし風雪が強い日は別の手段で下校しているのか、高校生の姿は一人も見かけることはなかった。
(2021.12.13)