名古屋の近郊区間にありながらも、全線単線非電化である武豊線。そんな武豊線の終着駅、武豊の一つ手前にあるのが東成岩で線内では半田市最後の駅である。駅舎から見て右手には市街地が広がり、左手にはJFEスチールの工場の広い敷地が広がるという立地になっている。
民家風の駅舎と島式ホームに雨よけの屋根が付いただけという感じの東成岩は線内では利用者が最も少ない駅である。というのも、ここからさほど離れていない位置に名鉄河和線の青山があり、そちらの方が断然利用者が多いというのが現状だ。武豊線が長年非電化なのは、競合路線である名鉄との客取り合戦に勝てずにいるという背景があるのかも知れない。
そんな武豊線も2015年の春に電化する予定を立てており、現在は電化工事が着々と進められている。武豊線が電化されると、愛知県内における旅客線の非電化区間は東海交通事業の城北線のみとなる。
東成岩は武豊線のほかに、衣浦臨海鉄道半田線という貨物線の起点駅という顔を持つ。半田線の貨物輸送は現在1日1往復ではあるが、ここ東成岩の駅構内でスイッチバックをするという、珍しい光景が見られるのがこの駅の見どころである。
駅の近くにはアミューズメント施設なども存在するが、日中は30分おきに次の列車はやって来るので、途中下車しても特に暇を持て余すことはないであろう。
仕事が終わる夕方、鶴見線の場合は電車の時間になると通勤客が集まって来るのだが、工場から続々と出てくるのは車で家路に帰る従業員で列車の利用者はほとんどいなかった。車を持つ者にとっては東成岩の存在感が薄いというのが垣間見えた。
(2012.8.6)