木次線の列車は出雲坂根で一度方向を変え、さらに高い位置でもう一度スイッチバックをして険しい中国山地の高原を越えていく


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三段式スイッチバックの途中にある駅、出雲坂根。木次線の観光スポットになっている駅である。
Izumo-Sakane
 木次線最大のハイライトとも言える三段式スイッチバック。その一段目と二段目の折り返し、いわゆる1回目のスイッチバックが行われる場所に出雲坂根の駅がある。

 隣の三井野原とは直線距離では1.5キロほどしか離れていないが、高低差が160メートルもあるため、それを克服するために、スイッチバックを2度行う方式が採用されている。

 出雲坂根のホームから上方に赤い橋脚の三井野大橋が見えるのだが、2度のスイッチバックで上ったディーゼルカーの車窓から低い位置に、おろちループと駅からは遥か上方にあった三井野大橋を見ることができ、結構高く上ったことが実感できる。また出雲坂根の駅構内にもスイッチバックのジオラマもあって、事前に急な勾配を上っていく姿をイメージすることができる。

 駅舎は2010年に「延命水の館」というコミュニティ施設を兼ね備えた建物に建て替えられたが、その脇に出雲坂根の名物となっている湧き水「延命水」がチョロチョロと流れ出ている。この延命水は飲用だけでなく、調理にも適しているようで、ポリ容器を持参して汲みにやって来る人も多く、駐車場も完備しているため、車での来訪者も多い駅とも言える。

 出雲坂根の駅には延命水だけでなく、焼き鳥も名物だと聞いて降りてはみたものの、生憎の天候と、奥出雲おろち号がすでに出払った後だったせいか、売店はなく、人もそんなにいなかったために列車が去った後は静寂に包まれていた。

 スイッチバックと延命水を持つ木次線屈指の観光駅、出雲坂根。民家も旧道沿いに位置しているため、駅からぱっと見では民家が確認できないので、駅に誰もいない瞬間は秘境駅の雰囲気も感じられる。

                                                        (2017.10.15)

出雲坂根の名物となっている延命水。遠方から汲みに来る人もいるほどの名水である。
出雲坂根のホームにある、スイッチバックの模型。
出雲坂根のスイッチバックの構内。向かって右側が上っていく方である。
出雲坂根のホームから上方に三井野大橋が見える。
出雲坂根