2019年4月20日、平成最後の新駅は、東日本大震災の復興の一つとして造られた。
駅名の由来となったJヴィレッジは、1997年に日本初となるサッカーのナショナルトレーニングセンターとしてオープン。1993年のJリーグ開幕で空前絶後のサッカー人気が起こり、同年の日本代表のドーハの悲劇を教訓に、日本がサッカーで世界を目指すべくハード、ソフト面における強化が本格的に開始し、Jヴィレッジの開業は世界進出の足掛かりとなって、男子は1998年のフランス大会から出場を続け、女子は2011年のドイツ大会で優勝をするなど、サッカーの発展に貢献したのは言うまでもない。
しかし2011年の東日本大震災後の福島第一原子力発電所事故により、元々東京電力の敷地だったという宿命からか、事故発生から約2年間は原発事故対応の拠点として使われることとなり、神聖なサッカーグラウンドに様々な車や機材が入り込むなど、サッカーに携わる人にとっては非常に心が痛む光景だったかも知れない。
原発事故の対応拠点が福島第一原発に移った後、Jヴィレッジは段階的に復旧され、グラウンドには整備された芝生が映える。Jヴィレッジはサッカーだけでなく様々なスポーツの合宿所としても対応が可能で、施設内にはレストランや喫茶店もあるので時間が合えば食事も可能となっている。
復興のシンボルとして開業した常磐線のJヴィレッジは、イベント時のみに営業をする臨時駅であるが、それまで隣の木戸から徒歩15分ほどかかっていたものを、徒歩2分と大幅に短縮。Jヴィレッジにおけるイベント開催時には電車で楽に行けるようになった。営業時間内には、いちおうJRの職員は来ているが、きっぷの販売は行わず、ホームの見学が自由にできるので、実質無人駅のような感じだ。
ホームの中心には聖火台を模したオブジェ、スロープにはサッカーのシルエット風の壁画、駅構内には常にアンセムが流れるなど、完全にサッカーに特化した感じの駅である。
(2019.5.3)