北見から普通列車に揺られておよそ40分、今となっては北見市最西端の駅となった金華は峠越えを控えた駅で、この駅で折り返す普通列車も1日に3本ある。
大きな駅舎を今も残し、交換設備も機能しているこの駅。広い待合室には切符売り場やチッキと呼ばれる荷物置き場の跡があるが窓口は板で塞がれてしまっている。かつては駅員を置いて峠越えに備えていたことが偲ばれる。
ホーム側の駅舎には常紋トンネル工事殉職者の追悼碑の看板がある。金華と生田原の間には、北見市と遠軽町の境界でもある常紋トンネルがある。しかしこのトンネルは強制労働によって造られたことでも知られ、栄養不足によって倒れた労働者を現場周辺で生き埋めにするという凄惨な歴史を持っている。
1968年の十勝沖地震の影響に伴う改修工事で大量の人骨が発見されて、常紋トンネルに人柱が埋まっていることが分かり、1980年に駅近くの高台に追悼碑が建てられた。それでもこのトンネルは全国でも屈指の心霊スポットとして知られ、話を聞いて想像したらブルブルと震えあがらせてしまう。
駅周辺は小さな集落を形成している地区ではあるが、その大半は廃屋になっており、その建物の前には放置された廃車が何台も見受けられて、著しい過疎の地区という印象を受けた。人口減が叫ばれている昨今、将来的に金華の駅周辺に住民がいなくなる時代が来てしまうのかもしれない。
(2014.9.6)