留萌本線の中で列車による訪問の難易度が最も高い駅と言えば、この北秩父別である。1日の本数が上下線合わせて17本、普通列車しか設定されていないのにも関わらず大半の列車は通過してしまい、停車してくれる列車は朝と夕方の6本のみと、完全に通学利用しか見込んでいない駅となっている。

 短いホームに古い小屋のような下見板張りの木造待合室という構造で、待合室の壁面にはすっかり色あせてしまった手書きの駅名標が残されている。北秩父別は国鉄時代は北海道の鉄道管理局によって承認されていた仮乗降場。国鉄が駅名標を設置してくれないが故に自前で作るしかなかったのかも知れない。そしてJRとなった今は立派な駅名標が設けられ、手書きの方はすっかりお役御免といった雰囲気である。

 元々は田園地帯の中にポツンと設けられた駅で、周囲に農家とみられる民家はちらほらと見受けられるが、車が生活の足となっている今は、この北秩父別の駅まで出向いて列車に乗り込むことなんてほとんど無いのであろう。

 駅の裏手には高速道路が通っている。実は札幌から留萌まではバス1本で直接行くことができ、さらにこのバスは滝川や深川からでも乗車可という特長を持っているため、驚異的なライバルという以前にもう敗れてしまっている感が強い。留萌地方における鉄道の歴史が、もはや風前の灯火となっている。

                                                          (2021.2.21)

                                                       
北秩父別の駅前通り。裏手にある高速道路が留萌本線の存続を脅かす。
北秩父別の駅名標と待合室。
Kita-chippubetsu
北秩父別の発車時刻表。列車での訪問機会は朝と夕方しかない。
北秩父別の待合室付近に設置されている駅名標と掲示板。仮乗降場時代はこれが駅の情報源だったのであろう。
北秩父別の駅全景。国鉄時代は仮乗降場だった。


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北秩父別